ブラックバカラをあなたへ
これには関わらない方が身のためだと長年の付き合いで学んだ。
私はまたイヤホンを耳につける。
そして、一時停止にしていた曲を再生しようとした時。
「みなさん、おはようございます」
澄んだ綺麗な声。
声量は大きくないはずなのに、どこか印象に残る声。
「げっ…優奈|《ゆうな》…」
春実が彼女を見て、しまったというような顔をする。
燈もオロオロしている。
この人達は何故勉強しないのだろう。
呆れを通り越して笑いそうになる。
「げって…はしたないですよ。それより、またくだらない喧嘩をしていましたね。まる聞こえでしたよ。小学生でもあるまいし。将来が思いやられます」
はぁ、とそこでため息をつく彼女。
何回目のやり取りだろう。
毎朝毎朝飽きないものだ。
優奈も優奈で、こんな2人ほっとけばいいのにと思うけれど、彼女の性分では我慢できないのだろう。
「そこに座っているお二人も、見ていないで注意したらどうです?」
あー。私にまで飛び火が…
彼女の綺麗な金髪が太陽の光に反射して眩しい。
彼女はクオーターで、金色の髪も澄んだ碧色の目も生まれつきで、どこかの国お姫様を連想させる。
「今度からはしまーす」
私は目をそらしてやる気なさそうに言う。
めんどくさいっていうのが本音なのだが、それを言ってしまえばまた怒られそうなので言わない。
それより、さっきから口も開かない仲葉に少しイラつきを覚える。
けど、それもそれでいつもの事と思えば気になることもなくなった。
「ゆーちゃんごめんなさい…これからは気をつけます」
燈の桃色の目に涙が溜まる。
小さくて可愛い彼女。
そんな彼女の反省に私はきっとすぐ許してしまう。
「はぁ…それ、何回も聞きました」
優奈には通用しないみたいだけれど。
それでも優奈の言うことは正論なので、何も言えない。
本当に何回も聞いたからなぁ。
それこそ耳にタコができるほど。
まだ優奈はガミガミとなんか言っている。
それを燈は涙目になりながら、春実はめんどくさそうに聞いている。
多分、春実のそんな態度が余計優奈を腹立たせるのだろう。
まだお説教は続く。
隣をちらりと見てみると、仲葉は涼しい顔で本を読んだまま。
よくこんなうるさい所で読めるものだ。
よく言えば集中力がすごい。
悪く言えば無関心。
私も私でこの会話(と呼べるものかは分からないけれど)には興味はないけれど。
それよりも、だ。
「時間そろそろやばいよー」
公園の真ん中にたっている時計塔を見ると、すでに8時15分を指していた。
ここに来て20分ぐらいは経っていると思う。
暦上では春とはいえ、まだ4月。
しかも朝。
寒さが残るこの時期に、何もせず座っているというのには少し限界を覚える。
そろそろ行こうと言うように、私は立ち上がった。
「あー!今日、始業式だよ!」
さっきまでシュンとしていたのに。
立ち直りが早いのが燈、か。
「そんなこと知ってるっつーの。てか、なんで始業式ごときにそんな舞い上ってんの?」
春実の目にバカみたいって書いてある。
そんなことだからいつものように喧嘩が始まるのに、全く反省の色が見られない。
ある意味すごいと思う。
でも、この2人を見てるとこういうのもアリかな、なんて。
私は実はこの風景を楽しんでいるのかもしれない。
「始業式はどうでもいいけど、ほら、今日クラス分けもあるじゃん!」
燈のさりげなくどうでもいい発言。
まあ、始業式を楽しみなんて言う人は少なからず私の友達にはいないけれど。
「クラス分けね。どーせまた一緒でしょー。何が楽しみなんだか。あんたはまた、Cクラスよ」
「なっ!わかんないじゃん!はるちゃんだって、どーせまたBクラスだよーだっ!」
「Cクラスよりマシよ」
ほら、また始まる。
後ろに優奈がいることを忘れているんじゃないだろうか。
燈なんて、さっき反省したばっかりなのに。
きっと2人に、”子供ね”なんて言っても否定されるんだろう。
はたから見れば、本当に子供に見えるのに。
今日も騒がしい日になりそうだ。
私はまたイヤホンを耳につける。
そして、一時停止にしていた曲を再生しようとした時。
「みなさん、おはようございます」
澄んだ綺麗な声。
声量は大きくないはずなのに、どこか印象に残る声。
「げっ…優奈|《ゆうな》…」
春実が彼女を見て、しまったというような顔をする。
燈もオロオロしている。
この人達は何故勉強しないのだろう。
呆れを通り越して笑いそうになる。
「げって…はしたないですよ。それより、またくだらない喧嘩をしていましたね。まる聞こえでしたよ。小学生でもあるまいし。将来が思いやられます」
はぁ、とそこでため息をつく彼女。
何回目のやり取りだろう。
毎朝毎朝飽きないものだ。
優奈も優奈で、こんな2人ほっとけばいいのにと思うけれど、彼女の性分では我慢できないのだろう。
「そこに座っているお二人も、見ていないで注意したらどうです?」
あー。私にまで飛び火が…
彼女の綺麗な金髪が太陽の光に反射して眩しい。
彼女はクオーターで、金色の髪も澄んだ碧色の目も生まれつきで、どこかの国お姫様を連想させる。
「今度からはしまーす」
私は目をそらしてやる気なさそうに言う。
めんどくさいっていうのが本音なのだが、それを言ってしまえばまた怒られそうなので言わない。
それより、さっきから口も開かない仲葉に少しイラつきを覚える。
けど、それもそれでいつもの事と思えば気になることもなくなった。
「ゆーちゃんごめんなさい…これからは気をつけます」
燈の桃色の目に涙が溜まる。
小さくて可愛い彼女。
そんな彼女の反省に私はきっとすぐ許してしまう。
「はぁ…それ、何回も聞きました」
優奈には通用しないみたいだけれど。
それでも優奈の言うことは正論なので、何も言えない。
本当に何回も聞いたからなぁ。
それこそ耳にタコができるほど。
まだ優奈はガミガミとなんか言っている。
それを燈は涙目になりながら、春実はめんどくさそうに聞いている。
多分、春実のそんな態度が余計優奈を腹立たせるのだろう。
まだお説教は続く。
隣をちらりと見てみると、仲葉は涼しい顔で本を読んだまま。
よくこんなうるさい所で読めるものだ。
よく言えば集中力がすごい。
悪く言えば無関心。
私も私でこの会話(と呼べるものかは分からないけれど)には興味はないけれど。
それよりも、だ。
「時間そろそろやばいよー」
公園の真ん中にたっている時計塔を見ると、すでに8時15分を指していた。
ここに来て20分ぐらいは経っていると思う。
暦上では春とはいえ、まだ4月。
しかも朝。
寒さが残るこの時期に、何もせず座っているというのには少し限界を覚える。
そろそろ行こうと言うように、私は立ち上がった。
「あー!今日、始業式だよ!」
さっきまでシュンとしていたのに。
立ち直りが早いのが燈、か。
「そんなこと知ってるっつーの。てか、なんで始業式ごときにそんな舞い上ってんの?」
春実の目にバカみたいって書いてある。
そんなことだからいつものように喧嘩が始まるのに、全く反省の色が見られない。
ある意味すごいと思う。
でも、この2人を見てるとこういうのもアリかな、なんて。
私は実はこの風景を楽しんでいるのかもしれない。
「始業式はどうでもいいけど、ほら、今日クラス分けもあるじゃん!」
燈のさりげなくどうでもいい発言。
まあ、始業式を楽しみなんて言う人は少なからず私の友達にはいないけれど。
「クラス分けね。どーせまた一緒でしょー。何が楽しみなんだか。あんたはまた、Cクラスよ」
「なっ!わかんないじゃん!はるちゃんだって、どーせまたBクラスだよーだっ!」
「Cクラスよりマシよ」
ほら、また始まる。
後ろに優奈がいることを忘れているんじゃないだろうか。
燈なんて、さっき反省したばっかりなのに。
きっと2人に、”子供ね”なんて言っても否定されるんだろう。
はたから見れば、本当に子供に見えるのに。
今日も騒がしい日になりそうだ。