ブラックバカラをあなたへ
ついにやってきた、テスト当日。




潤ちゃんにエールを貰って、私は学校へと向かった。




テスト期間は四日間で、一日二教科ずつという時間割。




いつもの公園へと向かうと、珍しく私以外のメンバーは揃っていた。




「おはよー。燈と春実が先にいるなんて、珍しいね」




「私はいつも通りに行こうと思ってたけど、燈に起こされて。ふぁ」




燈と春実は幼なじみで、家も隣通しということもあり、いつも燈が春実を起こしに行っているらしい。




「今日は気合い入れないといけないからね!」




そう言う燈は、立ったまま、英語の教科書を読んでいる。




目の下には若干隈が見えていて、徹夜明けなのが見受けられた。




「そんなことで私を巻き込むのやめてよね。ほんと眠すぎ」




「そんなことって何よ!私たちにとって重要な勝負なんだから!」




「はいはい、そこまでにして、早く行きますよ」




いつもの燈と春実と優奈の会話を耳に、私たちは通学路を歩く。




「仲葉は準備万端なのー?」




「ええ、もちろんよ」




そう言いながらも、その手に持っている本が単語帳なのを私は知っている。




仲葉も可愛いところがあるもんだ。




そう思いながら、ニヤニヤと仲葉を見ていると、彼女は気づいたらしく、気持ち悪いと、虫を見るような目で言われてしまった。




やっぱり仲葉は辛辣だ。




学校に着き、それぞれのクラスへと向かう。




テストということで、ほとんどのクラスメイトが既に来ていた。




皇夜の連中はまだのようね。




このままサボって、不戦敗になればいいのに。




なんて、思っていたけど、そのすぐ後にどうやら来たようで、廊下やクラスが騒がしくなった。




彼らはあまり授業には出ないので、物珍しさに他のクラスからも生徒たちが来ていた。




主に女子なわけだが、今日テストということ忘れてるんじゃないの?って思わずにはいられない。




だいたい、あいつらより、雅伊斗達の方がかっこよかったし。




なんて嫉妬混じりに女子たちを睨みつける。




「随分、余裕そうだな」




そんなことをしていたら、何故か碧斗が私の席まで来ていた。




「そういうあんたこそ、あんまり出席してなかったみたいだけど、余程その頭に自信があるようね」




ほんと、碧斗ってなんでこうも私に突っかかってくるのか。




私が嫌いなら話しかけなければいいのに。




…違う、こいつらは、嫌でも私たちと接触しなければいけないんだ。




私たちが唯一の手がかりだから。




「ああ。俺は元がいいんでな」




そう言って、碧斗は余裕な笑みを浮かべ、自分の席へと戻って行った。
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