ブラックバカラをあなたへ
「終わった〜!」
そう言って春実が机に突っ伏す。
テスト最終日の放課後。
私たちは空き教室に集まっていた。
「結果はまだ出ていませんが、ひとまずは終わりましたね」
「うう…結果が出るまで緊張が抜けないよぉ…」
燈が眉を寄せると、優奈がまあまあと宥める。
「今日はお疲れ会も兼ねて、久しぶりに倉庫に行こう!」
私がそう提案すると、みんなも頷く。
テスト期間中は、各々で勉強ということで、倉庫に行くことはしなかった。
みんなにも早く会いたいな〜と思っていたら、ガラガラと扉が開く音がして。
まさかとは思ったが、案の定そこには皇夜の連中がいた。
せっかくテストから解放されたと思ったのに、こいつらいたら心が休まらないじゃん。
と心の中で文句を言う。
「みんなお疲れ〜!」
「やっと終わったね」
「俺、こんなに勉強したの生まれて初めてで、もうヘトヘト」
真っ先に口を開いたのは結我で、テスト終わりだとは思えない元気さだった。
薙は相変わらず落ち着いていて、滾は疲れが顔に出ていた。
「みんなもお疲れ〜」
春実が三人に向けて言う。
この三人は、比較的友好的で、私たちの輪に自然といることが多い。
最初、敵意剥き出しだった春実も、滾とゲームの話で盛り上がってからは三人とは仲良くしていた。
「燈ももうヘトヘトだよ〜。みんなは、どんな感じだった?」
燈、一応こいつらが敵だということを忘れていないだろうか。
「ん〜、俺はいつも通りって感じかな〜」
結我はそう言うが、A組にいるのだから、それなりの点数だということだ。
「僕はいつもより、少しいい点が取れそうかな」
薙は嬉しそうだ。
薙は確か、B組なので、私たちには及ばないと思うけれど、それなりの点数をたたき出すだろう。
滾はC組だが、勉強したと言っていたので、燈と同じかそれより上をいくかもしれないということ。
あと残りの二人だが、探りを入れたところで教えてくれるはずもないし、聞いたとしても、余裕な笑みで返されるだけだろう。
いちいち癇に障る二人に、わざわざ話しかけることもない。
「そういや、A組の3人はいつも上位3位をキープしてるんだって?今回はどう?」
結我が私たちに向けてそう聞くけれど、
「さあ」
と、仲葉には一蹴されてしまう。
「そうですね、やれるだけのことはやったので、あとは結果を待つのみです」
優奈は悠然とそう答えた。
「私は1位って確信してるよー」
全部満点の自信あるし。
「へえ。その確信があたればいいな」
私の背後から嫌な声がする。
「慢心は失敗に終わると知らないのでしょうか。無知とは恥ずかしいですね」
またまた背後から何か聞こえるが、ここは我慢する。
私は勉強した。
あいつらの挑発に乗ったところで体力を消耗するだけだ。
それなら、優奈のように冷静な対応をすればいい。
「あらあら、いつ私が慢心したと思ったのかしら。私はいつも1位を取り続けてきました。日々の積み重ねがこの結果を生んだのです。それが自信に繋がったというだけですけれど」
どう?この大人な私。
我ながらよく出来たと思うんだけど。
2人ともこの私に気圧されて、なにも言えないようね。
「ぷっ…お前、なんだその喋り方。…くくっ」
それを聞いて、私が勢いよく後ろを振り向くと、口に手を当て、笑いを抑えている碧斗の姿が目に入る。
「っな!!ちょっと!これのどこに笑う要素があったのよ!」
「幼稚な人ですね」
肩を震わせている碧斗の隣で、パソコンを打ちながら冷たく言い放つ咲満。
少し私の心は傷ついた。
それより、碧斗も普通に笑えるんだなんて、変なことをふと思った。
「お前って、変なやつだったんだな」
落ち着いたのだろう碧斗が、私に変人というレッテルを貼る。
ゴミとか、バカとか、変なやつとか、一体私はこいつに何回貶されればいいのだろうか。
「葉音、優奈の真似をしようとしたのでしょうけど、あなたは一生、優奈のようにはなれなから諦めることね」
仲葉にそう言われ、みんなの方に向き直ると、春実と結我と滾は大いに笑っているし、燈と薙は苦笑していた。
「葉音さん、あまり気を落とさないでね」
「は、恥ずかしい…」
優奈ごめんと、心の中で謝った。
そう言って春実が机に突っ伏す。
テスト最終日の放課後。
私たちは空き教室に集まっていた。
「結果はまだ出ていませんが、ひとまずは終わりましたね」
「うう…結果が出るまで緊張が抜けないよぉ…」
燈が眉を寄せると、優奈がまあまあと宥める。
「今日はお疲れ会も兼ねて、久しぶりに倉庫に行こう!」
私がそう提案すると、みんなも頷く。
テスト期間中は、各々で勉強ということで、倉庫に行くことはしなかった。
みんなにも早く会いたいな〜と思っていたら、ガラガラと扉が開く音がして。
まさかとは思ったが、案の定そこには皇夜の連中がいた。
せっかくテストから解放されたと思ったのに、こいつらいたら心が休まらないじゃん。
と心の中で文句を言う。
「みんなお疲れ〜!」
「やっと終わったね」
「俺、こんなに勉強したの生まれて初めてで、もうヘトヘト」
真っ先に口を開いたのは結我で、テスト終わりだとは思えない元気さだった。
薙は相変わらず落ち着いていて、滾は疲れが顔に出ていた。
「みんなもお疲れ〜」
春実が三人に向けて言う。
この三人は、比較的友好的で、私たちの輪に自然といることが多い。
最初、敵意剥き出しだった春実も、滾とゲームの話で盛り上がってからは三人とは仲良くしていた。
「燈ももうヘトヘトだよ〜。みんなは、どんな感じだった?」
燈、一応こいつらが敵だということを忘れていないだろうか。
「ん〜、俺はいつも通りって感じかな〜」
結我はそう言うが、A組にいるのだから、それなりの点数だということだ。
「僕はいつもより、少しいい点が取れそうかな」
薙は嬉しそうだ。
薙は確か、B組なので、私たちには及ばないと思うけれど、それなりの点数をたたき出すだろう。
滾はC組だが、勉強したと言っていたので、燈と同じかそれより上をいくかもしれないということ。
あと残りの二人だが、探りを入れたところで教えてくれるはずもないし、聞いたとしても、余裕な笑みで返されるだけだろう。
いちいち癇に障る二人に、わざわざ話しかけることもない。
「そういや、A組の3人はいつも上位3位をキープしてるんだって?今回はどう?」
結我が私たちに向けてそう聞くけれど、
「さあ」
と、仲葉には一蹴されてしまう。
「そうですね、やれるだけのことはやったので、あとは結果を待つのみです」
優奈は悠然とそう答えた。
「私は1位って確信してるよー」
全部満点の自信あるし。
「へえ。その確信があたればいいな」
私の背後から嫌な声がする。
「慢心は失敗に終わると知らないのでしょうか。無知とは恥ずかしいですね」
またまた背後から何か聞こえるが、ここは我慢する。
私は勉強した。
あいつらの挑発に乗ったところで体力を消耗するだけだ。
それなら、優奈のように冷静な対応をすればいい。
「あらあら、いつ私が慢心したと思ったのかしら。私はいつも1位を取り続けてきました。日々の積み重ねがこの結果を生んだのです。それが自信に繋がったというだけですけれど」
どう?この大人な私。
我ながらよく出来たと思うんだけど。
2人ともこの私に気圧されて、なにも言えないようね。
「ぷっ…お前、なんだその喋り方。…くくっ」
それを聞いて、私が勢いよく後ろを振り向くと、口に手を当て、笑いを抑えている碧斗の姿が目に入る。
「っな!!ちょっと!これのどこに笑う要素があったのよ!」
「幼稚な人ですね」
肩を震わせている碧斗の隣で、パソコンを打ちながら冷たく言い放つ咲満。
少し私の心は傷ついた。
それより、碧斗も普通に笑えるんだなんて、変なことをふと思った。
「お前って、変なやつだったんだな」
落ち着いたのだろう碧斗が、私に変人というレッテルを貼る。
ゴミとか、バカとか、変なやつとか、一体私はこいつに何回貶されればいいのだろうか。
「葉音、優奈の真似をしようとしたのでしょうけど、あなたは一生、優奈のようにはなれなから諦めることね」
仲葉にそう言われ、みんなの方に向き直ると、春実と結我と滾は大いに笑っているし、燈と薙は苦笑していた。
「葉音さん、あまり気を落とさないでね」
「は、恥ずかしい…」
優奈ごめんと、心の中で謝った。