ブラックバカラをあなたへ
どれぐらいこうしていたのかは分からないけれど、彼に抱きしめられているこの状況に、少し恥ずかしさを覚える。
『あの、廻さん。私はもう大丈夫ですので、そろそろ…』
私が軽く手で押し退けようとするけれど、その分、彼の抱きしめる腕が強くなる。
『なあ。優奈は俺だけに愛されているのでは、満足しないか?』
その言葉に私は頭が真っ白になる。
愛されている?
私が、廻さんに…?
『えっと…廻さんは、私のことを、その…』
『愛している。俺は優奈を、誰よりも愛している』
『…っ』
"愛している"その言葉を、他でもない、あなたに言ってもらえたことが、すごくすごく嬉しくて。
幸せで。
私は涙する。
嬉し涙というものを私は初めて流した。
私はこの言葉を、ずっとずっと待ち望んでいた。
最初は、私の気持ちに応えてもらえなくてもいい。
ただ、彼の傍にいられるのならそれでいいと思っていたはずなのに。
本当は心のどこかで願っていた。
いつか、私を見てくれますように。
『私も、愛しています。誰よりも、廻さんを愛しています』
涙が止まらない。
この時間が愛おしくて、私は彼の背中に手を回す。
あなたとなら、私はきっと、自分の人生を好きになれる。
あなたに出会えたことが、私の人生で一番の宝物。
彼の手が緩まって、身を離す。
私の頬に、温い彼の手がそっと触れて、私の涙を掬いとる。
彼の目は、慈愛に満ちていて。
私たちは自然と優しい口付けを交わした。
もし神様がほんとうにいるのだとしたら。
彼と出会わせてくれたことに感謝いたします。
そして、どうか、この時間が末永く続きますように。
ーーーーけれど、神様が私の願いを聞き受けてくれることはなかった。
それから数ヶ月後。
彼は私の目の前で死んだ。
『あの、廻さん。私はもう大丈夫ですので、そろそろ…』
私が軽く手で押し退けようとするけれど、その分、彼の抱きしめる腕が強くなる。
『なあ。優奈は俺だけに愛されているのでは、満足しないか?』
その言葉に私は頭が真っ白になる。
愛されている?
私が、廻さんに…?
『えっと…廻さんは、私のことを、その…』
『愛している。俺は優奈を、誰よりも愛している』
『…っ』
"愛している"その言葉を、他でもない、あなたに言ってもらえたことが、すごくすごく嬉しくて。
幸せで。
私は涙する。
嬉し涙というものを私は初めて流した。
私はこの言葉を、ずっとずっと待ち望んでいた。
最初は、私の気持ちに応えてもらえなくてもいい。
ただ、彼の傍にいられるのならそれでいいと思っていたはずなのに。
本当は心のどこかで願っていた。
いつか、私を見てくれますように。
『私も、愛しています。誰よりも、廻さんを愛しています』
涙が止まらない。
この時間が愛おしくて、私は彼の背中に手を回す。
あなたとなら、私はきっと、自分の人生を好きになれる。
あなたに出会えたことが、私の人生で一番の宝物。
彼の手が緩まって、身を離す。
私の頬に、温い彼の手がそっと触れて、私の涙を掬いとる。
彼の目は、慈愛に満ちていて。
私たちは自然と優しい口付けを交わした。
もし神様がほんとうにいるのだとしたら。
彼と出会わせてくれたことに感謝いたします。
そして、どうか、この時間が末永く続きますように。
ーーーーけれど、神様が私の願いを聞き受けてくれることはなかった。
それから数ヶ月後。
彼は私の目の前で死んだ。