ブラックバカラをあなたへ
「それより、みんなすごく可愛い!」




「まじで、すげえ似合ってる!」




薙と滾が目をキラキラさせて、私たちを褒める。




私に対しては、お世辞と分かっているけれど、まあ、悪い気はしない。




「こんな可愛い子が5人もいたら、男が放っておくわけないよなぁ」




結我、それは大袈裟だと、心の中で呟く。




「それで、他の2人はどこにいるの?本当に私たちも行って大丈夫なの?」




私がそう聞くと、




「多分、大丈夫でしょ!こっちだよ~」




なんて、呑気に結我が案内してくれる。




多分って…




私たちは知らないからね…




入口から少し歩くと、休憩所のような場所があって、そこにはテーブルと椅子がいくつか置いてあった。




その一角に、碧斗と咲満の姿が見える。




2人は一緒に何かを話しているようで、まだ、私たちの存在には気づいていないようだった。




「碧斗~咲満~連れてきたよ~!」




薙が手を振って、2人に呼びかける。




その声に反応して、2人がこっちを見た瞬間に、ドス黒い殺気が放たれたのが分かった。




他のお客さんに迷惑だからしまって、と言える雰囲気ではない。




私たちは、とりあえず大人しくしておこうと、目配せで合図する。




「おい、なんでこいつらがいんだ?」




「俺が呼んだ~」




碧斗の低い声に怯みもせず、結我が楽しそうに答える。




こいつのメンタルはどうなってんだ…




「スペシャルゲストとは、この人たちのことだったんですか?」




咲満はどこか呆れ顔でそう聞く。




「そうそう!驚いただろ!」




なぜか滾も楽しそう。




これがこの5人の正常運転なの?




明らかに2人は迷惑そうですけど。




「驚いたというより、呆れています。普通、誘われても来ないでしょう」




その言葉が私たちに向けてのことなのは、一目瞭然で。




「帰れ」




碧斗に一言そう言われたのが、悲しいというよりも、むしろ腹立たしくて。




せっかく来てやったのに、その態度は何?




歓迎されないのは分かってたけどさ。




私たちの正体を知りたいとかほざいてたやつが、こうもあっさり突き放すなんて。




ほんとに意味わかんない!




…って、なんかこれ、私がこいつらと一緒にいたいみたいじゃない?




こいつらといても、全然楽しくないのに…





いや、そう、これは作戦のせいよ。




今日はこいつらと一緒にいなきゃいけないから、あんなこと思っただけ。




絶対そう。




こいつらと一緒にいたいだなんて、思っちゃいけないんだから…
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