スペル
アイン「?」


ナランハ「お前は、かなり気絶してたみたいだぜ。ステータスを覗かせてもらったが、気絶日数は…」


言いつつ、指を開いてパーの形にした。


ナランハ「5日。信じられないことだけどな。お前、なんでレベル1のままで夜襲われなかった?」


アイン「…多分、リスベールさんが金光壁を張ってくれたのかと…。」


ナランハ「ほぉ、おまえリスベールの事情を知ってるのか。アイツ…お前のこと化物かもって言ってたんだが。」


アインはナランハの言葉を聞き、うつむいた。そして、ボソリと呟いた。


アイン「そう、みたい。俺は魔王から呼び出されたらしいから…。」


ナランハ「なるほどな……って、なる訳ねーだろ。お前はどこからどう見ても、魔王の使徒じゃねぇよ。金光め、ほら吹きやがって…。大方どこぞの召喚スキル持ちがミスったんだろ。」


ナランハはやれやれと首を振りながら、アインの頭をなでた。


アイン「んっ…。」


ナランハ「リスベールは目の前で魔王軍の脅威を知っちまったんだ。お前のせいじゃないよ。それに、お前は人間だ。どこの世界から来たのかはしらねぇけどな。だから、そんなしょんぼりすんな、な?」


アインはナランハのお前は人間だ、という言葉に涙が出た。
しばらくして、アインの涙がおさまると、ナランハが立ち上がった。


ナランハ「行こうか、町へ。とりあえずお前のステータスカードと、ギルド登録を済ませようぜ。事情は知らねぇが、帰り方が分かるまでは、ここで生きるしかねぇからな。」


アイン「うん、分かった。…ありがと、ナランハ。」


アインが立ち上がり、礼を言うとナランハは照れくさそうに立ち上がり、頬をポリポリとかき、木から飛び降りた。アインもその後を追って、ハシゴを降りた。


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