スペル
アイン「!?」
商人は見るも無惨に真っ二つ…にはなっていなかった。切れたのは商人の袋のみ、袋の切り口から、10センチ程の不思議な模様の描かれた正方形の箱が出てきた。そして、袋の切り口はすぐ閉じてしまった。
アイン「袋が少し切れて…箱が出て、また閉じた?どういうこと、これは?」
ナランハ「ああ、さっきのスキルは発見のスキル。幻の力で触れることで、こいつの隠しているものを暴くことができるんだ。対象物以外には影響が無くて、使い勝手がいいんだよ。ギルドにはそういう依頼も舞い込むから、ギルドに入った後の必須スキルの一つでもあるんだぜ。」
言いつつ、ナランハは商人の袋から出てきた箱を手に取り、まじまじと見つめる。
ナランハ「ほぉ…封印箱か。てめぇ、この中に何を入れてやがる?」
箱の側面に書かれていた模様を見て、ナランハの顔つきが変わる。商人は慌てふためくのみで、何も話さない。門兵が商人を離し、ナランハに歩み寄った。
門兵「それを貸してください、中身を改めますので。」
ナランハ「何が入ってるのかもわかんねぇのに開けるのか?ギルドに持ってった方がいいだろ。」
門兵「いえ、どうせ大したものは入っていないでしょうし、ここで改めますよ。」
ナランハ「ちっ、知らねぇぞ?ほらよ。」
ナランハは箱を門兵に向けて投げた。門兵がそれを受け取るのを確認するとナランハはアインの肩を叩いた。
ナランハ「行こうぜ。早いとこ登録済ませねぇと。存外つまらない相手だったしなぁ。」
アイン「うん、わかった。行こう。」
アインはナランハの手際に感心しつつ、ナランハと共に橋を渡りだした。
橋を半分ほど渡ったところで、ドンッ!!という爆発音のあとに、凄まじい衝撃波が後ろから吹き、2人は地面に押し倒された。
ナランハ「な、なんだぁ!?」
アイン「いっつ…!」
二人が振り返ると、沢山の人が先程の商人を先頭にして、橋をものすごい形相で走っていた。背後にとてつもなく大きな岩の塊を引き連れて。
ナランハ「おいおいおい…!やっぱ持ってきゃ良かったか!?」
アイン「あれは何なの!?い、岩!?」
ナランハ「ちげぇ!あれはストーンブロッキンだ!岩の魔物だよ!」
グオオオオオ!とストーンブロッキンが叫び、丸い岩の状態から、先程の門兵の形に姿を変える。大きさは三倍ほど大きくなって。
ナランハ「くそ!しかもあれは変化するタイプだ!上位種だぞ!!あんのクソ商人!ふざけたもの持ち込みやがって!!」
ナランハは剣を抜き、鞘を投げ捨て、人々が走る方とは逆向きに…ストーンブロッキンに向けて駆けた。
アイン「ナランハ!!」
アインも剣を抜き、あとを追う。と、ストーンブロッキンは人々を追いかけるのを突然止め、立ち止まり、腕を握り合わせ、振り上げる。腕の落下地点に小さな赤毛の女の子が倒れていた。
ナランハ「させるかよぉ!!我今命ず!影よ!あの子を守りたまえ!スキル・シャドウブラインド!」
ナランハが右手を前に向け、叫ぶ。ナランハの影が女の子へ向かってスルスルと伸びていく。ストーンブロッキンが腕を振り下ろす。女の子は気絶しているらしく、悲鳴もあげない。
ナランハ「まっ…に…あぇぇ!!!」
ギュンッと影の伸びるスピードが早まり、ナランハの影が女の子の元へたどり着く。たどり着いた途端に丸い球体を作り、中に女の子をしまった。
ドゴオオオン!と音を立てて、ストーンブロッキンの腕がナランハの影を叩く。
ナランハ「ぐっ…!きっちぃな…これは。アイン!今のうちに女の子のとこへ向かえ!お前がたどり着いたら球体を解く!」
アイン「わかった!任せて!!」
どうやら、ナランハとあの影はリンクしているようだ。影を叩かれたナランハが苦悶の表情を浮かべている。その様子を見たアインは必死に走って影の球体の元へ向かった。
ストーンブロッキンが口を動かし出した。とても小さな声で聞き取りずらいが、どうやらスキルの詠唱のようだった。
ストーンブロッキン「我が……持ちて…高速の…たまえ。スキル・……地」
唱え終わると、ストーンブロッキンの目が赤く光り、体の所々に傷が入る。その傷から赤い光が飛び出した。
ナランハ「嘘だろ!?あいつ、加速化もできんのかよ!!」
ナランハが叫び声を上げ、 発動したスキルにさらに力を送った。
商人は見るも無惨に真っ二つ…にはなっていなかった。切れたのは商人の袋のみ、袋の切り口から、10センチ程の不思議な模様の描かれた正方形の箱が出てきた。そして、袋の切り口はすぐ閉じてしまった。
アイン「袋が少し切れて…箱が出て、また閉じた?どういうこと、これは?」
ナランハ「ああ、さっきのスキルは発見のスキル。幻の力で触れることで、こいつの隠しているものを暴くことができるんだ。対象物以外には影響が無くて、使い勝手がいいんだよ。ギルドにはそういう依頼も舞い込むから、ギルドに入った後の必須スキルの一つでもあるんだぜ。」
言いつつ、ナランハは商人の袋から出てきた箱を手に取り、まじまじと見つめる。
ナランハ「ほぉ…封印箱か。てめぇ、この中に何を入れてやがる?」
箱の側面に書かれていた模様を見て、ナランハの顔つきが変わる。商人は慌てふためくのみで、何も話さない。門兵が商人を離し、ナランハに歩み寄った。
門兵「それを貸してください、中身を改めますので。」
ナランハ「何が入ってるのかもわかんねぇのに開けるのか?ギルドに持ってった方がいいだろ。」
門兵「いえ、どうせ大したものは入っていないでしょうし、ここで改めますよ。」
ナランハ「ちっ、知らねぇぞ?ほらよ。」
ナランハは箱を門兵に向けて投げた。門兵がそれを受け取るのを確認するとナランハはアインの肩を叩いた。
ナランハ「行こうぜ。早いとこ登録済ませねぇと。存外つまらない相手だったしなぁ。」
アイン「うん、わかった。行こう。」
アインはナランハの手際に感心しつつ、ナランハと共に橋を渡りだした。
橋を半分ほど渡ったところで、ドンッ!!という爆発音のあとに、凄まじい衝撃波が後ろから吹き、2人は地面に押し倒された。
ナランハ「な、なんだぁ!?」
アイン「いっつ…!」
二人が振り返ると、沢山の人が先程の商人を先頭にして、橋をものすごい形相で走っていた。背後にとてつもなく大きな岩の塊を引き連れて。
ナランハ「おいおいおい…!やっぱ持ってきゃ良かったか!?」
アイン「あれは何なの!?い、岩!?」
ナランハ「ちげぇ!あれはストーンブロッキンだ!岩の魔物だよ!」
グオオオオオ!とストーンブロッキンが叫び、丸い岩の状態から、先程の門兵の形に姿を変える。大きさは三倍ほど大きくなって。
ナランハ「くそ!しかもあれは変化するタイプだ!上位種だぞ!!あんのクソ商人!ふざけたもの持ち込みやがって!!」
ナランハは剣を抜き、鞘を投げ捨て、人々が走る方とは逆向きに…ストーンブロッキンに向けて駆けた。
アイン「ナランハ!!」
アインも剣を抜き、あとを追う。と、ストーンブロッキンは人々を追いかけるのを突然止め、立ち止まり、腕を握り合わせ、振り上げる。腕の落下地点に小さな赤毛の女の子が倒れていた。
ナランハ「させるかよぉ!!我今命ず!影よ!あの子を守りたまえ!スキル・シャドウブラインド!」
ナランハが右手を前に向け、叫ぶ。ナランハの影が女の子へ向かってスルスルと伸びていく。ストーンブロッキンが腕を振り下ろす。女の子は気絶しているらしく、悲鳴もあげない。
ナランハ「まっ…に…あぇぇ!!!」
ギュンッと影の伸びるスピードが早まり、ナランハの影が女の子の元へたどり着く。たどり着いた途端に丸い球体を作り、中に女の子をしまった。
ドゴオオオン!と音を立てて、ストーンブロッキンの腕がナランハの影を叩く。
ナランハ「ぐっ…!きっちぃな…これは。アイン!今のうちに女の子のとこへ向かえ!お前がたどり着いたら球体を解く!」
アイン「わかった!任せて!!」
どうやら、ナランハとあの影はリンクしているようだ。影を叩かれたナランハが苦悶の表情を浮かべている。その様子を見たアインは必死に走って影の球体の元へ向かった。
ストーンブロッキンが口を動かし出した。とても小さな声で聞き取りずらいが、どうやらスキルの詠唱のようだった。
ストーンブロッキン「我が……持ちて…高速の…たまえ。スキル・……地」
唱え終わると、ストーンブロッキンの目が赤く光り、体の所々に傷が入る。その傷から赤い光が飛び出した。
ナランハ「嘘だろ!?あいつ、加速化もできんのかよ!!」
ナランハが叫び声を上げ、 発動したスキルにさらに力を送った。