スペル
アイン「そんな話…信じられるわけがないよ!俺は、図書館で本読んでて、それで!」


エーレ「……それが、今回選ばれたあなたの過去の記憶なのですね。」


エーレは冷たく言い放つ。


アイン「っ…!違う!俺の記憶は本物だ!」


エーレ「偽物とは言っていませんよ。ただ、あなたの過去は多様にあるのです。その中の一つが毎回選ばれ、あなたはここに産まれ…いえ、産まれさせられる。」


アイン「信じない!」


エーレ「そう、ですか。ならば信じられるようになったらまた来なさい。私の名を腕に刻み、眠ることでここに来ることができます。」


それだけ言うとエーレは右手を水晶玉にかざした。突如、目の前の世界が崩壊し闇に包まれていく。


エーレ「あなたは必ずまた来る。今までもそうであったのだから。今日の記憶は奥深くに潜ませます。あなたが来る日を待っていますよ…。」


エーレのつぶやきがこだました。
チュン…チュン…。
ガバッと起き上がる。鳥の鳴き声が響き、眩しい朝日が降り注ぐ。


アイン「(なんか、変な夢を見てたような…?)」


記憶を探るが、何も思い当たる節がない。思い違いだろうと思い、ベットから降りて立ちあがる。同時に扉が開き、ナランハが現れる。


ナランハ「よお。起きたのか。」


アイン「おはよう、ナランハ。なんか変な夢見てたような気がするんだけど…」


ナランハ「な!何でもないと思うぞ!うん!(どうやら、昨日の記憶は残らなかったようだな…よかった。)」


アイン「そっか、ところで、何でここに?」


ナランハ「んー。今日が初依頼の日だろ?一緒に行こうかなと思ってさ。」


そう言うとナランハは照れくさそうに頬をかいて、くるりと振り返る。


アイン「分かった。行こう。」


アインの発言にナランハは心の中でガッツポーズをした。


ナランハ「決まりだ、早く行こうぜ!」


アイン「ん。」


ナランハが部屋を出て歩き出していった。そのあとすぐに立ち上がって、ナランハのあとを追って歩き出した。


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