スペル
ラズは取り出した紙を机の上に広げた。紙には「緊急クエスト」「探索クエスト」「納品クエスト」「討伐クエスト」とそれぞれ紙の端の4箇所に大文字で書かれていた。
ナランハ「ふもっ、たふかるぜー。(うおっ、助かるぜー)」
ナランハが肉をもぐもぐと噛みながら言う。たしなめるようにラズがナランハの口元に指をあてた。
ラズ「食べるかしゃべるかどちらか一つにしましょうね♪」
ナランハ「んっ…んぐ。おう、了解。」
アイン「ったく…。がさつだよね、本当に。」
ナランハ「なんだとっ!」
ナランハが頭をぺしぺしと叩く。こほん、とラズが咳をして、俺達をたしなめると、説明を始めた。
ラズ「さて、クエストについてですね。まず、クエストには四種類あります。ひとつ目は探索クエスト。これは未開の地であったり、魔王の住んでいる地域を調べたり、生物の生息地調査関係のクエストです。難易度は低めですが、比例して報酬も低いですね。次に、納品クエスト。これは荷馬車を運んだり、護衛をするクエストです。難易度は中ぐらいでしょうか。報酬は割と高めですね。そして、討伐クエスト。これは文字通り魔物の討伐関係のクエストです。最近は魔王軍の進行により討伐関係のクエストに要する人員が不足しつつあります。難易度は高いですが、そのぶん、報酬も高いです。最後に緊急クエスト。これは魔王軍の襲来時に発生するクエストで、ギルド加入者は絶対参加のものとなります。」
ふぅ、とラズは一息ついて机の上に置いてある水を飲む。少しの空白の間、カチャカチャと食器の音だけが響いた。
ラズ「さて、クエストに関する説明は以上となります。なにか質問はありますか?」
ナランハ「特になーっしっ。」
そう言ってナランハはグビグビと水を飲む。その様子を見て、まるで中年のおっさんみたいだな…と思った。
アイン「俺も特にないです。あ、あとですね。」
ラズ「はい?何でしょう?」
アイン「ギルドや、スキルについて訪ねたいのですが…」
ラズ「え…?どういう事ですか?もしかして、知らないのですか?」
ラズが不審そうな顔をする。ナランハが慌てて話をさえぎってきた。
ナランハ「ちょ、ラズさん。こいつ記憶喪失みたいでさ、教えてやってくんないかな?」
ラズ「ああ、なるほど、記憶喪失、ですか。」
納得したように頷くと、こちらを見てきた。
ラズ「どんな質問でも答えますよ♪」
アイン「あ、ありがとうございます。それじゃあ、今日は一つだけ、ギルドとは何でしょうか?」
ラズ「ギルドとは、クエストを受けたりクエストを出したりすることの出来る機関です。ギルドに所属することにより、得られる特典のようなものがあるので腕っぷしの強いひとがよく入られますね。」
アイン「特典、ですか?」
ラズ「そう、特典です。まぁ、一種の縛りつきなのですが。誓いの掟ーーそう呼ばれるものが各地のギルドにそれぞれ存在します。掟の内容は各ギルドにより異なり、その掟の影響力は各ギルド1エリアのみです。そして、その掟を守っている限り、瀕死クラスのダメージを食らった時点でギルドに置かれている転移石の力により、クエスト失敗とみなされ、強制送還が行われます。」
アイン「なるほど…つまり、戦闘により死んでしまう確率が極端に低くなる、ということですね。」
ラズ「はい♪そういうことです。ちなみに、ここのギルドでの誓いの掟はただひとつ、非戦闘員を置いての敵前逃走の禁止です。」
アイン「ちなみに、ですが。誓いの掟を守らなかったらどうなるのでしょうか?」
ラズはこほん、とせきをした。
ラズ「あまりオススメはしませんね。まず、そのエリアすべての街への出入りが制限されます。また、他エリアへの出入りが禁止となります。これは転移石により行われるので、犯罪者等も逃げおおせることはできません。」
アイン「なるほど…。理解しました。ありがとうございました!」
ラズ「いえいえ〜♪それでは、朝食も済まされたようですし、早速何かクエストを受けて来てはいかがでしょうか?」
その言葉を聞くと、だまって食事していたナランハが立ち上がった。
ナランハ「んだな。難易度低めのクエストでもやってみようぜ。」
アイン「うん!」
俺はナランハに続いて席を立ち上がると、クエストボードの方へむかった。
ラズ「記憶喪失…?私のスキルで見た時にはそんなことは…。」
その姿を見送りながら、ラズがつぶやいた。
ナランハ「ふもっ、たふかるぜー。(うおっ、助かるぜー)」
ナランハが肉をもぐもぐと噛みながら言う。たしなめるようにラズがナランハの口元に指をあてた。
ラズ「食べるかしゃべるかどちらか一つにしましょうね♪」
ナランハ「んっ…んぐ。おう、了解。」
アイン「ったく…。がさつだよね、本当に。」
ナランハ「なんだとっ!」
ナランハが頭をぺしぺしと叩く。こほん、とラズが咳をして、俺達をたしなめると、説明を始めた。
ラズ「さて、クエストについてですね。まず、クエストには四種類あります。ひとつ目は探索クエスト。これは未開の地であったり、魔王の住んでいる地域を調べたり、生物の生息地調査関係のクエストです。難易度は低めですが、比例して報酬も低いですね。次に、納品クエスト。これは荷馬車を運んだり、護衛をするクエストです。難易度は中ぐらいでしょうか。報酬は割と高めですね。そして、討伐クエスト。これは文字通り魔物の討伐関係のクエストです。最近は魔王軍の進行により討伐関係のクエストに要する人員が不足しつつあります。難易度は高いですが、そのぶん、報酬も高いです。最後に緊急クエスト。これは魔王軍の襲来時に発生するクエストで、ギルド加入者は絶対参加のものとなります。」
ふぅ、とラズは一息ついて机の上に置いてある水を飲む。少しの空白の間、カチャカチャと食器の音だけが響いた。
ラズ「さて、クエストに関する説明は以上となります。なにか質問はありますか?」
ナランハ「特になーっしっ。」
そう言ってナランハはグビグビと水を飲む。その様子を見て、まるで中年のおっさんみたいだな…と思った。
アイン「俺も特にないです。あ、あとですね。」
ラズ「はい?何でしょう?」
アイン「ギルドや、スキルについて訪ねたいのですが…」
ラズ「え…?どういう事ですか?もしかして、知らないのですか?」
ラズが不審そうな顔をする。ナランハが慌てて話をさえぎってきた。
ナランハ「ちょ、ラズさん。こいつ記憶喪失みたいでさ、教えてやってくんないかな?」
ラズ「ああ、なるほど、記憶喪失、ですか。」
納得したように頷くと、こちらを見てきた。
ラズ「どんな質問でも答えますよ♪」
アイン「あ、ありがとうございます。それじゃあ、今日は一つだけ、ギルドとは何でしょうか?」
ラズ「ギルドとは、クエストを受けたりクエストを出したりすることの出来る機関です。ギルドに所属することにより、得られる特典のようなものがあるので腕っぷしの強いひとがよく入られますね。」
アイン「特典、ですか?」
ラズ「そう、特典です。まぁ、一種の縛りつきなのですが。誓いの掟ーーそう呼ばれるものが各地のギルドにそれぞれ存在します。掟の内容は各ギルドにより異なり、その掟の影響力は各ギルド1エリアのみです。そして、その掟を守っている限り、瀕死クラスのダメージを食らった時点でギルドに置かれている転移石の力により、クエスト失敗とみなされ、強制送還が行われます。」
アイン「なるほど…つまり、戦闘により死んでしまう確率が極端に低くなる、ということですね。」
ラズ「はい♪そういうことです。ちなみに、ここのギルドでの誓いの掟はただひとつ、非戦闘員を置いての敵前逃走の禁止です。」
アイン「ちなみに、ですが。誓いの掟を守らなかったらどうなるのでしょうか?」
ラズはこほん、とせきをした。
ラズ「あまりオススメはしませんね。まず、そのエリアすべての街への出入りが制限されます。また、他エリアへの出入りが禁止となります。これは転移石により行われるので、犯罪者等も逃げおおせることはできません。」
アイン「なるほど…。理解しました。ありがとうございました!」
ラズ「いえいえ〜♪それでは、朝食も済まされたようですし、早速何かクエストを受けて来てはいかがでしょうか?」
その言葉を聞くと、だまって食事していたナランハが立ち上がった。
ナランハ「んだな。難易度低めのクエストでもやってみようぜ。」
アイン「うん!」
俺はナランハに続いて席を立ち上がると、クエストボードの方へむかった。
ラズ「記憶喪失…?私のスキルで見た時にはそんなことは…。」
その姿を見送りながら、ラズがつぶやいた。