不良少女
「ほら、約束は約束よ。
守ってもらうわ」
「もちろん、払うよ。
ほら、君が泣いてどうするんだ。
その涙を早く拭いてくれないか、見っともない」
父さんは女の人に告げて足早に去った。
追いかけるように女の人も去っていった。
ドサ…
「母さん!」
母さんはその場で緊張が抜けたみたいに崩れた。
「ごめんね…
こんな頼りないお母さんで。
でも、貴方達が私から離れていかないでくれてほんとよかった」
ギュッと俺たちを抱きしめてくれる母さんの手には力が入っていた。