俺と結婚しろよ!




「大丈夫だ。

今じゃほとんどのアーティストが同じようにしている。

逆に、下手な演奏をしたほうがリスキーだ。

……分かるだろ?」





確かに森井さんの言う通り。

歌番組を見ても、歌すら歌っていない人もいる。

だけどね……

あたしたちが目指しているのは、そこではないんだ。

観客を欺きたくない。

あたしたちの生のパフォーマンスで、みんなを沸かせたい。






ふと頭に浮かんだ。




「Fは……?」




あたしは森井さんに聞いていた。




「Fはどうなんですか?」




森井さんは皮肉な笑みを浮かべる。

そしてこう言った。




「お前らは、彼らの足下にも及ばない」



< 12 / 451 >

この作品をシェア

pagetop