俺と結婚しろよ!
賢ちゃんはやっぱり、あたしを賢ちゃんの家に連れていった。
お洒落なその家、今は少しだけ散らかっている。
テーブルの上に置かれた缶ビール。
ソファーに無造作に置かれたシャツ。
そして……散らばる譜面。
思わず手に取って見ると、なんとFの新曲で。
恐ろしいほどのオタマジャクシの羅列を、ぐるっと囲ったり、コメントが書かれたりしていた。
「あー……」
賢ちゃんはバツが悪そうにそれを取り上げる。
「これは今、関係ねぇ」
「なんで?」
「今は咲良が大切だから」
その言葉にふふっと笑ってしまう。