俺と結婚しろよ!








見回すと、ホールは人で埋め尽くされていた。

みんなが手を上げ、あたしたちの音楽に乗る。

鼓動はビートを刻み、気分はアゲアゲ。

あたしはギターを鳴らし、声を張り上げる。

サビの部分で客席にマイクを向けると、客席から歌声が聞こえる。




すごい!

みんな、ちゃんと聴いてくれていたんだ!!

何この一体感。

あたしの身体、興奮でバラバラになりそう。







ふと、賢ちゃんが座っているあたりを見た。

もちろん、ステージから賢ちゃんの姿は見えないし、賢ちゃんもキラキラうちわなんて持っていなかった。

でも、この場にいてくれるという事実が心強くて。

あたしは、見えない賢ちゃんに向かって笑いかけたんだ。





ありがとう!

あたし、賢ちゃんに救われた。

賢ちゃんがいたから、あたしはあたしらしくライブが出来る。




< 163 / 451 >

この作品をシェア

pagetop