俺と結婚しろよ!
「咲良、お疲れ様」
賢ちゃんはそう言って、あたしをぎゅっと抱きしめてくれた。
ライブの熱が冷め切らないあたしの頭が、さらにヒートアップする。
鼓動が規則正しいリズムを刻み、耳の中でこだまする。
「頑張ったな。
俺、感動したぞ?」
嘘かもしれない。
だって、賢ちゃんはもっと素敵なライブをするんだから。
それでも、賢ちゃんの言葉が嬉しくて。
泣きそうになるのを必死で我慢した。
それなのに……
不意に、大きな花束を出す賢ちゃん。
ピンクに黄色。
色とりどりの綺麗な花束だ。
思いがけないプレゼントに、とうとうあたしの涙腺は崩壊して、
「賢ちゃんの馬鹿……」
賢ちゃんにしがみついたまま、泣いたんだ。
あたし、はっきり分かった。
あたしはもう、賢ちゃんから離れられない。
……大好きです。