俺と結婚しろよ!
結婚……か。
賢ちゃんと結婚したら、楽しいだろうな。
だけど、いまいち信じられないんだ。
そして、信じるのが怖いんだ。
賢ちゃんは掴みどころがなくて、フワフワしていて。
掴んだと思ったら、すって消えてしまいそうなんだ。
「分かってるなら、早く俺のものになれよ」
賢ちゃんはニヤッと笑いながらあたしに告げた。
その笑顔。
いたずらそうに、口角を吊り上げた顔。
あたしを撫でる指。
あたしを呼ぶ、少し低い声。
賢ちゃんの全部が大好きなんだ。
あたし、いつからこうも全身で、賢ちゃんが好きだったんだろう。