俺と結婚しろよ!
賢ちゃんのフランス料理店は、賢ちゃんのマンションからほど近い場所にあった。
少し大きめの道沿いの、洒落た店。
白い壁がライトアップされ、soleilという字が見える。
「賢ちゃんのくせにお洒落じゃん」
思わず言うと、
「俺だってやるときはやる男だ」
なんて言う。
言わなくても分かってるよ。
痛いほど分かってる。
店に入ると、
「お……オーナーだ!!」
固まる男性。
いかにもという黒いパンツにベストを着ている。
「悪い。
立て込んでて、昨日今日と店に来れなかった」
賢ちゃんは申し訳なさそうに言う。