俺と結婚しろよ!
賢ちゃんはあたしを見て、ふっと笑う。
何だか泣きそうな笑顔だった。
その笑顔で、次は何を言うの?
もう聞きたくない!
「……とか、言うはずねぇよ、バーカ」
「は?」
唖然とする。
「マジで咲良しかいねぇんだよ。
今までのヤツとは違うんだ。
もう、後戻り出来ねぇんだよ。
咲良のことばっかり考えてんだよ」
「賢ちゃん……」
「だから……」
そう言って、あたしの手を握った賢ちゃん。
ドクン……
心臓が大きな音を立てる。
だけど……
「まずは謝れ、バーカ!!!」
車の中で、あたしは賢ちゃんに頭突きをする。
「痛てててててぇ!!
いい頭突きだな、チクショー!」
賢ちゃんはやっぱりビッグリアクリョンで痛がって。
そんな賢ちゃんを見ると、笑いが溢れてきて。
賢ちゃんと一緒に、大声で笑っていた。
不思議だな。
会えなかった寂しさも、ライブのことを教えてくれなかった悔しさも、全て消えてしまいそう。