俺と結婚しろよ!
「やべー!Fの迫力は予想以上だったな」
楽屋に帰ると、悠真は興奮していて。
真っ赤な顔で騒ぎ立てる。
「それに、艶も悪い人じゃなかった」
大輝も嬉しそう。
本来なら、あたしもすごく嬉しいんだろう。
ずっとずっと背中を追ってきたFと、同じ舞台に立てるから。
だけど、今はショックのほうが大きいんだ。
賢ちゃんが、あたしに見向きもしなかったから。
……分かっていたけど。
ずっとずっと昔のことなんて、覚えているほうがおかしいって。
だけど、
「気を取り直して頑張らなきゃ!」
そう思った。
「Fには敵わない。
でも、少しでも追いつけるように!!」
悠真も大輝も頷く。
「円陣しよう!」
あたしたちは高鳴る鼓動を胸に、手を重ね合わせた。