俺と結婚しろよ!
「ライブは……
咲良を驚かせたかった」
その言葉に、
「え!?」
あたしは、思わず聞き返していた。
あたしを驚かせたかった?
……なに、それ。
すると、賢ちゃんは少し得意げになって言う。
「俺の予定ではだな、今の今まで咲良はライブのことを知らねぇ。
それで俺がここに連れてきて……」
そう言って、あたしに紙切れを手渡す。
それを見て、目を疑った。
そして、目頭が熱くなった。
「F special live 横浜アリーナ」
それにはそう書いてあった。
席は……指定席の前列。
「センター席だと落ち着いて見れねぇかなと思って。
それに、咲良、有名人だし」
胸がズキンと痛む。
そして、甘く甘くときめく。
あたし、なに一人で怒っていたんだろう。
賢ちゃん、すごくすごくあたしのこと、考えていてくれたのに。
賢ちゃんのことを馬鹿馬鹿って言うけど、一番馬鹿なのはあたしだ。