俺と結婚しろよ!
「Fの初めてのMVも、ここで撮影した」
「うん……」
「俺にとっちゃ、始まりの場所だ。
だからここに咲良を連れてきて、俺と結婚しろと言いたかったんだけど……」
言葉に詰まる。
賢ちゃんは本気で言ってるのか、またまた冗談なのか。
「今日は止めとく。
俺、咲良を悲しませたから」
そんなことない!
あたし、嬉しかったよ!!
とっさにそんな素直なことが言えなくて、ただ賢ちゃんの手をぎゅっと握った。
賢ちゃんは、そんなあたしを見下ろす。
東京の夜景にぼんやり照らされた賢ちゃんは、なんだかひどく大人に見える。