俺と結婚しろよ!
賢ちゃんは女好き。
スタジオの近くの、完全個室の料亭。
日本庭園を眺める落ち着いた雰囲気のその部屋の中に、あたしたちはいた。
落ち着いた雰囲気とは裏腹に、全然落ち着かないあたし。
向かい合った修也の視線が気になって、あたしは下を向いた。
賢ちゃんの話が聞けるからとはいえ、こんな店に修也と二人。
これ、下手するとデートだよ。
賢ちゃんに対する罪悪感が押し寄せる。
賢ちゃん、怒るかな。悲しむかな。
そんなことを考えると、気分が滅入った。
一方、修也はなぜかウキウキで。
メニューも見ず、
「いつものコース、二人分」
と頼む。
修也の行きつけか。
きっとすごく高級な店なんだろう。
やっぱり、国民的アイドルとなると、行く店も違うのか。
あたしはじーっと座ったまま、修也を睨んだ。