俺と結婚しろよ!
あー、むしゃくしゃする!!
あたしは早足で料亭の廊下を走り、女将さんに一万円札を渡し、料亭から飛び出た。
賢ちゃんも最低だし、修也も最低だ。
そして……
あたしも最低。
なんで賢ちゃんを信じてしまったんだろう。
賢ちゃんを好きになってしまったんだろう。
くしゃくしゃに握りつぶした紙を見る。
その文字を見ただけで、めまいすらする。
きっと賢ちゃんは、誰にでも本気だと言うんだ。
そして、結婚しようと言って、抱く。
あたし、過ちを犯さずに、本当に良かった!!
怒りに任せて道を突き進んでいると、
「咲良?」
ちょうどスタジオを出た、悠真と大輝に呼び止められた。