俺と結婚しろよ!
諦めるという決意。
スタジオに入って数十分。
あたしは、殴り書きした歌詞を見た。
その歌詞を見るだけで、視界がぼやけてくる。
泣きたくないのに、涙はとめどなく溢れてくるのだった。
中井茜や優理。
あたしよりもずっと美人だ。
あたしと比べると、あたしが愚かに思えるほど。
「咲良」
遠慮がちに悠真が呼ぶ。
あたしは涙を拭いて、悠真を見た。
悠真の隣には大輝がいて。
大輝も悠真と同じような顔であたしを見る。
だめだ、あたし。
チームメイトにこんな顔させちゃ。
「咲良、なにがあったか、そろそろ教えてくれる?」
遠慮がちに聞く大輝に、あたしは歌詞を書いた紙を手渡した。