俺と結婚しろよ!
「咲良ちゃん?」
修也があたしを呼ぶ声で、はっと我に帰った。
あたしは引きつった笑みで、
「はい!」
元気に返事をする。
そんなあたしを見て、修也は
「元気でよろしい」
超上から目線で言う。
元気じゃない。
空元気だ。
だけど、修也に突っかかるのも面倒になって。
適当に愛想笑いをしておいた。
ふと時計を見る。
時間は午後四時を指しており、もうすぐCM撮影も終わりだ。
あたし、よく頑張った!!
自分を褒めてやりたい。
そんなあたしの耳に、ありえない言葉が飛び込んできた。
「次がラスト。
キスシーンね」
あたしは、すごい顔で監督を見た。