俺と結婚しろよ!
そんな時、携帯に着信が入る。
一瞬身体が固まった。
賢ちゃんじゃないかと思って。
だけど、着信拒否をしている賢ちゃんからのはずもなく。
知らない番号からの着信だった。
なに?
いたずら電話?
もしかしてあたしの番号、漏れてる?
でも、仕事関係の電話かもしれないと思い、あたしは電話に出た。
これがいけなかったんだ。
あたしは……最も会いたくない……だけど、最も会いたい人に、会う羽目になるのだから。
「あ……咲良ちゃん?」
電話の向こうの男性は、少し遠慮したように聞いた。
そして、
「遠藤です」
と名乗る。
遠藤?
そんな人、知り合いにはいない。
やっぱり仕事関係なのか。
恐る恐る
「……遠藤さん?ですか?」
聞くと、
「遠藤優弥です」
その名前に、あたしは驚愕した。