俺と結婚しろよ!
家に帰ると、報道陣がたくさんいて。
思わず足を止めてしまった。
彼らはあたしの姿を確認するや否や、餌に群がる鯉のように、一斉にマイクを向けてやってくる。
「新沢さん!
玄さんと、実際はどうなんですか?」
「玄さんのどこが好きですか?」
なかには、
「玄さんとどんな夜を過ごしますか?」
なんて、あり得ない質問をする人もいて。
あたしは会釈をして、逃げるように無言で部屋に閉じこもった。
怖い……
なんであたしの家を知っているのだろう。
それに、事務所のコメントでは満足出来ないってこと?
心臓がバクバクいう。
身体が震える。
賢ちゃん……助けて。
そう思っても、もちろん思いは届かないし、賢ちゃんが来るはずもない。
まだまだ煩い外の音に怯えながら、あたしは布団に潜り込んだ。