俺と結婚しろよ!
賢ちゃんは女の子を大切にしない。
あたしは、中井茜が指定したカフェに来た。
なんとか報道陣を巻いてたどり着いたあたしはへとへと。
髪が乱れ、肩で息をしていた。
それにしても、中井茜は女子力が高い隠れ家カフェを指定してきた。
わざとかというほどに。
裏通りの分かりにくい場所にあるそのカフェ、ビルの二階にあるのに、古民家かと思うような作りで。
お洒落で温かく、明るい光に満ち溢れた店だった。
その店の一番奥の個室に、中井茜はいた。
長い髪をお団子にして、ピンクのワンピースを着て。
パステルカラーのネイルをした指を組んでいた。
やっぱり中井茜は女子力が違う。
中井茜を前にすると、あたしなんてただの女だ。