俺と結婚しろよ!
「賢ちゃん、すごく優しいです」
中井茜は驚いてあたしを見る。
「確かに賢ちゃんは遊んでいたかもしれません。
でも、あたしの知っている賢ちゃんは、中井さんの知っている賢ちゃんとは少し違うようです」
中井茜を傷つけてしまうかもしれない。
自慢していると思われるかもしれない。
でも、言葉にするたび、賢ちゃんへの思いが溢れてくる。
「彼はいつもあたしのことを気にしてくれて。
マメに連絡をしてくれて。
結婚しようと言ってくれて。
好きと言ってくれて」
賢ちゃん、あたし、気付かなかった。
「一緒に料理作ったり、馬鹿なことをしたり。
楽しかったんです。
賢ちゃんの優しさを感じていたんです」
賢ちゃんは、こんなにあたしのこと、大切にしてくれたんだ。
今までの行いからは考えられないほどに、全力で大切にしてくれたんだ。
あたし、なんで信じられなかったんだろう。
賢ちゃんを傷つけてばかりいたのだろう。
……こんなにも、大好きなのに。