俺と結婚しろよ!
賢ちゃんは驚いた顔であたしを見る。
玄は決して見せない、感情豊かな賢ちゃん。
こんな賢ちゃんが、たまらなく愛しい。
「でも、俺の家には報道陣が……」
「いいの」
あたしはありったけの笑顔で賢ちゃんに言った。
「あたしは、結婚を前提に、賢ちゃんと真剣に付き合いたい」
「……マジで」
賢ちゃんは顔をくしゃっとして、あたしに両腕を差し出す。
「マジで……咲良……」
あたしはその腕の中に飛び込んでいた。
力強いその腕。
温かくて、優しくって。
割れ物を扱うように、だけど離さないように、あたしをぎゅっと抱きしめる。
その腕に抱きしめられたら、不安なんて吹っ飛んだ。
これでいいんだと確信した。
「賢ちゃん、大好き!!」
好きなんて言葉で言い表せないほど、賢ちゃんが好き。