俺と結婚しろよ!






「咲良……」




あたしの名を呼ぶ、少し低めのその声。

あたし以外誰も知らない、甘ったるいその声。

胸をくすぐり、夢中にさせる。

視線が絡まり、離せなくなる。

吸い寄せられたように顔が近付き……

唇が微かに触れた。





「咲良」




賢ちゃんは静かにあたしを呼ぶ。




「大好きだ」





今まで我慢してきたものを吐き出すように、唇を重ねた。





甘くて優しいキス。

心の奥まで溶かしてしまうようなキスだった。

欲望に支配され、少しずつ激しくなっていく。

賢ちゃんにぎゅっとしがみつき、身を任せた。






「大好きだ、咲良」





< 449 / 451 >

この作品をシェア

pagetop