俺と結婚しろよ!
あたしは、セミダブルのベッドの上にいた。
見たこともない、広い部屋の。
ぐるっと周りを見回す。
白い清潔な部屋と、淡い色の床。
床にはあたしの鞄が無造作に置かれていて。
そして……
「うっわ!
咲良、マジ凶暴だな」
あたしの下からまた男性の声が聞こえる。
慌てて下を向くと、なんとあたしの下には賢ちゃんがいて。
その顔を思いっきりつねっていて。
「凶暴っつーか、積極的っつーか」
にやりと笑う。
「なっ……」
言葉につまり、顔にどっと血が上った。
あたしの下には、いつも追いかけていたFの玄……賢ちゃんがいる。
あたしを見て、咲良なんて言ってる。
え?
夢?
あたしが賢ちゃんに会えるはず、ないじゃん!
賢ちゃんの顔から手を離し、自分の顔を思いっきりつねる。
夢なら痛くないはず。