俺と結婚しろよ!










賢ちゃんと別れて村木さんの車に乗り込んでも、あたしの鼓動は速かった。

そして、頭の中を賢ちゃんがぐるぐると回る。





賢ちゃんに会えて嬉しかった。

賢ちゃんがあたしのことを覚えていてくれて、すごく嬉しかった。

もっと仲良くなりたい。

一緒にいたい。

おかしいな。

あたしは、賢ちゃんをただ尊敬していただけなのに。








「咲良ちゃん」




不意に名前を呼ばれ、飛び上がった。

そして、



「はははいっ!!」



超大きな声で返事をする。

そんなあたしを、村木さんはバックミラーでちらりと見た。





言われることはだいたい想像がつく。

賢ちゃんともう会うなということだ。

分かってる。

でも、とても切ない。

だって、賢ちゃんといて、すごく楽しかったんだもん!



< 96 / 451 >

この作品をシェア

pagetop