俺と結婚しろよ!
賢ちゃんと別れて村木さんの車に乗り込んでも、あたしの鼓動は速かった。
そして、頭の中を賢ちゃんがぐるぐると回る。
賢ちゃんに会えて嬉しかった。
賢ちゃんがあたしのことを覚えていてくれて、すごく嬉しかった。
もっと仲良くなりたい。
一緒にいたい。
おかしいな。
あたしは、賢ちゃんをただ尊敬していただけなのに。
「咲良ちゃん」
不意に名前を呼ばれ、飛び上がった。
そして、
「はははいっ!!」
超大きな声で返事をする。
そんなあたしを、村木さんはバックミラーでちらりと見た。
言われることはだいたい想像がつく。
賢ちゃんともう会うなということだ。
分かってる。
でも、とても切ない。
だって、賢ちゃんといて、すごく楽しかったんだもん!