私、先生と付き合ってます。
ー先生…助けて…

心でそう叫んでみた。けど、先生は気づいてくれない。

てか、マネージャーと話してるし…。

何話してるんだろ?しかも楽しそう…。

胸が痛い…苦しいよ、先生…

そう思った瞬間ー私は勢いよく倒れた。思いきり目をつぶった。

頭が真っ白になって…。けど、いつまでたっても痛みは走らない。

うん!?私、守られてない!?

目を開けるとそこにいたのは…先生!?じゃなくて…相田主将。

「すいません…主将…」と私が言うと、

「体動かないんじゃないの?ムリしたらダメだよ?」と相田主将は言って私を支えてくれている。

「練習、続ける?」と笑顔で聞いてくる相田主将は、かなり心配そうに私を見ている。

「…続けたいです!!」と私が言うと、

「冗談だよ。本気にしないで!!その体じゃムリでしょ?休んでいいから見てて…」と相田主将は言ってくれた。

そして、私を隅の方に運ぶと優しくおろしてくれた。

「ありがとうございます!!」と満面の笑顔でお礼を言うと、照れながら、うんって笑ってくれる相田主将。

やっぱりカッコいい。ついつい見惚れてしまう。

私はこの時、何も気づいていなかった。


先生は…舌打ちしてる?けど、私、今動ける状態じゃないんです!!

視界はぼやけてる。それでも私は必死で相田主将を見つめる。

「三咲ちゃん…大丈夫?」とマネージャーが横に来ていた。

首だけを動かし、マネージャーの方を見つめる。

私はただ見ているだけで何も言えない。

…どうしよう。ホントに…もうすぐ大会なのに…出れなかったら…。

嫌なことだけが頭をよぎるー

「ムリは禁物だからね!」とマネージャーは言い残して去っていった。

私はただ焦点の合わない目で皆の練習を見ていた。

それからしばらくして…練習を終えた皆は帰っていくー

私は掃除をするために立ち上がったのだが…バランスを崩してしまい、上手く立てなかった。

えっ!?ウソ…今までこんなことなかったのに…何で急に…!?

思いきり壁に手をついた。壁ドン並みの威力で。

周りはビックリして私を見てたけど…何も言わずに帰っていった。

取り残された私は悪戦苦闘している。

そんな私は…いきなり誰かに支えられた。

そこにいたのは紛れもなく、恋人の先生で…。

「こんなときまで掃除する気か?」と先生は言う。

「…だってぇ~明日も使う場所だもん…」と私が言えば、先生は大きなため息をついた。

「俺が掃除する。後で送ってやるから待ってな…」と先生は言った。

私は頷いた。

私は先生の掃除する姿を眺めていた。

しばらくして、「ふぅ~やっとキレイなった。毎日ありがとな。こんな大変なこと…」と先生は言うと私の頭を優しく撫でた。

ドキドキする。これだけで…体も心も熱い…。

帰る支度を終えた私達…。

先生は私を抱き上げて、車まで運んでくれた。

私は助手席でシートベルトをしめた。

運転しながら先生は「何で早く言わなかった?」と聞いてきた。

「…言いたかった。声に出なかっただけ。心では何度も先生助けてって言った…けど、先生マネージャーと楽しそうに話してて…私を見てくれなかった」と私が言うと、「…ゴメン…」と先生は一言謝った。

私達の会話は無くなった。

家について、私は何とか車から降りて、先生を見送って中に入った。

時々襲う激しい痛み…私はついにお母さんに言った。

「あんたねぇ…」とかなり長いお説教?みたいなのを受けた。

「明日は休みなさい!良いわね!」と最後に付け足された。

「病院行こ。父さんも心配だし…」とお父さんは言ってくれた。

そして翌日…私はお父さんと一緒に病院に行った。
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