私、先生と付き合ってます。
公認
その日の夜ー

テストの点数は食事のときに話した。

食後の団らんで、食卓で私は中々切り出せなくてソワソワしていた。

それに気づいてたお母さんとお父さんが優しく、「どうしたの?」と聞いてきた。

何となく罪悪感で言うのをためらってる私…。

何て言ったら良いのかも正直、わからない。

数分?格闘した。悶々と頭の中で考える。頭をフル回転させるものの…やっぱりわからない。

けど…しばらくして私は腹をくくった。

そして、口を開いた。

「あのね…私…その…実は…担任で剣道部顧問の、豊田 司先生とお付き合いしてるの。 理科の担当も先生なんだけどね…」と私は言ってうつむいた。

ううん、ほんとは怖くて顔をあげられない。

多分反対されるんだろな。

ほら、今も二人とも何も言わない…。

少し間が空いて、「冗談じゃないわよ!」とお母さんの悲痛?な叫びが響いた。

私は小さくなった。机を叩くお母さん。発狂寸前…怖くて身震いしか出来ない。

いつもお母さんは優しくて…ニコニコしている。

そんなお母さんが怒ってる…。

私…初めてお母さんに怒られてる…。

涙がこぼれそうになった。が、歯を食いしばって耐える。

心のなかでゴメンなさい謝りながら…。

「まあまあ」とお父さんがなだめに入ってくれた。

ここからは、お母さんとお父さんの会話だ。

私はそれを純粋に見守っている。

「則子(お母さん)、そんなに怒ることか?」とお父さん。

「当たり前です!!大切な一人娘が教師とお付き合いしてるんですよ?あなたはナゼ平然としているの!!」とお母さんの怒りが爆発する。

逃げたかった。けど…逃げてはいけない気がした。

「…則子、少し落ち着いて、俺の話を聞いてくれるか?」とお父さんはなだめるように優しく言った。

頷く母さん。

「俺な、思うんだけどな。そんなに悪いことではないと思ってるんだよ。今や、親子ほど年の離れた夫婦やカップルはようけいる。歳の差なんて関係なくってきてるんだよ。それに娘が幸せなら俺らも嬉しいだろう?三咲は誰よりも努力してるんだよ。部活も、勉強も。あんなに苦手だった理科だってそれなりの点数を取ってきた。それは…三咲のプライドが許さなかったからだろう?大好きな先生の教科の点数だけ悪いのは先生に申し訳なくて、努力したからだろう?思わないか?俺なら逆の戦略狙ったな。わざと赤点取って補習受ける。その方が一緒にいれるから…なんてね」

と、お父さんは私をフォローする発言をしてくれた。

そして、こう、付け足した。

「俺は正しい選択だと思う。三咲ほどの人物なら…同世代じゃまず、相手できないと。先生くらいの方がちょうどいいのかもしれない」って。

お母さんは複雑そうな顔をしていた。

けど…しばらくして、「幸せなの?後悔はしてない?」と言った。

「もちろんよ。先生の彼女だって胸張りたいくらい。けど…今はまだ高校生だから。けどね、先生、将来のこと、真剣に考えてくれてるみたいだし、先生の気持ちにはちゃんと答えたいなって思ってる」と私が言うと、

納得したようにお母さんは頷いた。

「けど…もし、バレたら先生クビになるんじゃ…」と心配するお母さん。

「その事なら、問題ない。もうバレてる。てか、理事も校長も奥さん、元教え子だから…その、関係的にはウェルカムだって、応援してくれてるって言ってくれてるし…」と私が言うと、お父さんもお母さんも笑って、「そう、なら良かった」と言ってくれた。

「そうだ、今度家呼んで!」とお父さんは言った。

なんか嬉しそうなんだけど…!

私も嬉しくなって、「うん、先生に相談しとく」と返事した。

私は部屋に戻った。

そして、考えるー

どーしてお父さんは味方してくれたんだろう…って。

普通はお母さんの反応が正しいと思う。

ましてや私は一人娘…。

反対されて当然だと思ってた。なのに…何でなんだろう…。

って、まぁ、反対されたからと言って別れられるワケ無いんだけどね。

だって、先生と過ごす時間は何よりも楽しくて大好きな時間。

それに…先生のこと、どんどん好きになっていくんだ。

これが恋なんだ。って純粋に思ってる。

どんなことがあっても先生と一緒にいたいって思うし…誰にも取られたくないとも思う。

先生モテるから不安だらけだけど…先生の手は絶対離したくない。

いつか、お母さんにも認めてもらえたらいいな。


翌朝ー私はいつものように準備して家を出た。

相田主将は今日も迎えに来てくれている。

いよいよ今日は終業式。

他愛会話でいつものように学校に向かった。

下駄箱でバイバイと挨拶して、教室に向かう。

この日だけは、朝練をしないみたい…。

HRで先生が軽く挨拶をして…私たちは体育館に向かった。

校長の話は案外短い。 すぐに終わって、教室に戻ってきた。

先生から宿題が渡される。とは言っても、量はかなり少ない。

高校ってこんなに少ないの!?って思うほど…。


私にとっては二、三日分しか無いんですけど!!(笑)

皆は「えー宿題あんのー?」とか騒いでる。

けど…飛鳥は、「先生、こんだけしか無いんですかぁ~?」って言っちゃった。

私、言わずに我慢したのに…。

「ほぉ~もっと欲しいのか?宿題…なら俺から出してやろうか?特別な宿題を…」と先生は言って不敵な笑みを浮かべた。

「…いいです。要りません!!」と飛鳥は言った。

HRは何とか終わって、皆は教室を次々に出ていった。

私だけはイスに座っている。ナゼか動けずにいる。
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