私、先生と付き合ってます。
先生が私の横に座って声をかけた。

「…どした?HRもう終わってるけど?」って笑いながら。

力なく笑う先生の切なそうな顔に少し胸が痛んだ。

「…えっ!?終わってたんですかぁ~?」と私は言って白々しく立ち上がった。

けど…ナゼだか腕を掴まれて…座らされてしまった。

「…っ、せ、んせ?」と私は言って先生の顔を見た。

「…好きすぎておかしくなりそうなんだ…」と先生は苦しそうに呟いた。

先生は苦しんでる…。私まで辛くなりそうだった。

けど…私は昨日の話を思い出した。

先生と話した内容。そして、お母さんとお父さんと話した内容を…。

「…先生、ゴメンなさい…」私は謝ってみる。

ってこのタイミングで謝ったら勘違いされるかもしれない…。

けど…もう出てしまったものは仕方ない。

ふと廊下の方から足音が聞こえた。

ガラガラー

勢いよく扉が空いて…そこにいたのは、

相田主将、肩で息してる。

もしかして…遅いから呼びに来てくれたのかな?

「三咲ちゃん、やっぱりここにいた。早く部活行こー。って、司ちゃん何してるの!?」と相田主将に言われて、先生は慌てて私の腕を離した。

真っ赤な先生もちょっと可愛いと思ってしまう私。

はあぁ。。どんなに私先生のこと好きなのよ!自分にそう突っ込みたくなる。

「あは、もしかしてお取り込み中だった?俺、邪魔しちゃった?」なんてイタズラっぽく相田主将が笑うから…

恥ずかしくなって私俯いちゃう。

「わかってんなら、邪魔せずさっさと部活行けよな!!」と先生は照れ隠しに言う。

「えー、ヤダ。三咲ちゃんいないと皆練習真面目にしないもん」と相田主将、

「…まぁ、そうかもしんねぇけど…ってお前が一番真面目にしてねぇだろ!」と先生に言われて、「てへ、ばれちゃいました?」なんてふざけてる相田主将。

ホントに二人とも仲いいんだから…。

うらやまし過ぎるくらい…。

「先生、また後でね。先道場行って待ってるからね~」と私は言って今度こそしっかり立ち上がって、鞄を持つと、教室を出た。

先生が呆然としているのに気づかないフリして、私は相田主将と一緒に道場に向けて歩き出した。

「本気でお取り込み中だった?」と真顔で聞いてくる相田主将はやっぱり優しい。

「大丈夫です。私がボーッとしてて、HR終わったの気付いてなかっただけですから…」と私は言った。

「ホントに?俺には言いなよ?バレるよ?司ちゃんとの関係も知ってるんだから…ねっ?」と相田主将に笑顔で言われると、やっぱり怯んでしまう。

そして、やっぱり、相田主将の笑顔に勝てず、全てを話してしまった。

そしたら、「いい子、いい子。よく言えました」って相田主将に頭を撫でられた。

「もぉー子供扱いしないで下さいよー」といいながら頬を膨らましてみた。

「怒った顔も可愛い」なんて言ってくるからずるい。

この人には一生勝てる気がしないと改めて思ったのは内緒。

何とか道場について、私は更衣室で胴着に着替えた。

相田主将はすでに他の人たちと練習を始めていた。

私も着替えを終えて練習に混ざる。

そして、先生を待ってみるんだけど…先生はこない。

少し不安になった。けど…顔に出さないように、必死に練習に食らいついた。

しばらくして、休憩になった。皆にタオルとドリンクを配り終えた私は、

隅の方で壁にもたれてドリンクを飲んでいた。

そしたら…いきなり目の前が暗くなった。

と同時に、耳元に響くドンという音…。

どうやら私は今壁ドンされてるらしい…。

ふと、目線を上げると、相田主将がいた。

顔近いし!?って、なんで相田主将壁ドンしてんですかー?

声に出したつもりは無いけど…相田主将は優しく笑って私に迫る。

そして、耳元に顔を近づけると、「無理すんなよ」と囁いた。

思わず赤くなる顔…。殺気感じるんですけど…?

あいにく相田主将の影で誰から放たれるオーラ?なのかはわからない。

けど…この殺気は…先生…のような気がした。

「…そろそろ休憩終われよー」と遠くから先生の声が聞こえた。

相田主将の軽い舌打ちが聞こえたと思ったら相田主将は私から離れた。

「…いいとこだったのに、邪魔しやがって…」とブツブツ言う相田主将。

私も少し残念に想いながら、練習に戻った。

練習も無事終えて、皆を見送りながらいつものように片付けと掃除をする。

今日はいつもより丁寧に掃除しなくちゃ!!

しばらく使わないし…。

気合い入れて掃除してる私は先生が側にいることに気づかなかった。

いきなり後ろから先生に抱きつかれた。

「…見せつけてんじゃねぇよ」と先生のドスの聞いた低い声が耳に響く。

「…なっ、何のことですか?」と震えながらに、とぼけてみる私。

私は先生の方に向けられた。そして、キスされたー

私は先生に改めてちゃんと話そうと思って離れようとしたんだけど…離れられない。

だって先生、強く抱き締めすぎなんだもん。

「…健斗のこと好きなんだよな?さっきのゴメンなさいは…だからか?」と苦しそうに言う先生。

違うのに…そんなつもり無いのに…

けど…相田主将、楽しんでるよね?私と仲良くしてヤキモチやいてる先生見て…。

「先生、ちゃんとお話させて下さい」と私は熱を込めて言った。

そしたら先生はやっと私を離してくれた。

そして、向かい合って地べたに座った。

「まず、あのゴメンなさいは…先生を苦しめてることに対してです」

と私が言うと、先生はとても驚いたような顔をした。

「先生が昨日話してくれたこと、凄く嬉しかったです。だから私も腹をくくって親に伝えました。先生とお付き合いしてること、先生が私に話してくれたこと…」と私が言うと、

先生は更に複雑そうな顔をした。

「父はかばってくれました。応援すると。けど…母はどこか納得出来ないみたいで、もう反対してました。けど…お父さんがなんとか説得してくれて…一応納得してくれました」と私が言うと、

心から安堵した先生の笑顔が飛び込んできた。

思わず嬉しくて先生に抱きつきそうになる。

けど…まだ話は終わっていない、

グッとこらえて、話を続けた。
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