私、先生と付き合ってます。
「司ちゃーん。おはよ?」と言ってチャラそうな男子が私達の方にきた。

「おーぅ、おはよ。この子さぁ、皆が校内見学とかで教室出ていったのに、興味ないとか言うから、半ば強引に連れてきた」と笑顔で言う先生。

「司ちゃーんそれないっしょ?やりすぎだって!で、その子…新入生代表挨拶してた子でしょ?」とチャラそうな男子が返す。

「そうだよー。この子知らない?」と先生は言って口角をあげた。

「確か…綾小路三咲さん?」と言ったのは横にいた女子で…。

「あの、綾小路三咲!?」と声を揃えた男子数名は気を失ってしまった。

「あらぁ~数名気を失っちゃったけど…」と先生は笑う。

「紹介遅れました…。俺がここの主将の相田健斗です。 で、この横の女がマネージャーの横井 美奈ヨロシクね!」とチャラそうな男子が言って、横の女子は頭を下げた。

嘘…!?こんなチャラそうな人が主将なの?

ホントに…!?あり得ない。

「信じてないでしょ?いいよ。相手してあげるから着替えておいで?」と相田主将は言った。

私は更衣室に向かい、胴着に着替えて、髪を束ねた。

「ワォ!!別人…」なんて言ってくる先生。

やっぱりちょっとムカツク。

好きじゃない!!

「いいね!その闘争心剥き出しの鋭い目付き…」と相田主将は言った。

気を失っていた数名の男子たちも端の方に座り私達を見守る。

「おい、審判…」と先生が声をかけると何人かが定位置にたった。

両者向かい合うー

こうして見ると、確かに威圧感あるな…この人…。

私は深呼吸をした。そして一礼をする。

3分の試合で一本取った方の勝ち。

負けるわけにはいかない…。私のプライドとキャリアにかけて…。

面をかぶり、竹刀を握り直す。

緊張…いや、ドキドキしている。

試合開始のホイッスルがなった。

中々の腕だ。鋭く素早い。隙を与えないスピード…。

私は相田主将の様子を伺う。

手強い…私は1歩後ろに下がるー

一瞬の隙を見極めて、果敢に攻めるが中々決まらない。

終了間際…何とか私は強引な一本を取った。

勝てはしたものの…なんか納得のいかない結果になった。

面を外して、相田主将の顔を見た。けど…悔しさに顔が歪む。

「おつかれさん、さすがの腕前やね!けど…納得していないキミのその顔…そそるわ」と相田主将は言うと、私の頭を軽くポンポンして、

「久しぶりに戦いごたえのある子に出会ったわ!!これからヨロシクね!」と笑った。

やっぱチャラいよ!この人…。

ホントにこんなチャラそうな人が何で主将なのよ!

けど…腕は間違いない。

「相田主将、何段ですか?」と私が聞くと、「あら、そこ興味ある?」と笑う相田主将。

「あります!!この私がこんなに苦戦するなんて…上級者じゃなきゃあり得ませんし、級レベルなら話にならない。けど…あなたはここで主将をはれる実力…段持ちでしょ?」と私が言う。

「まぁ~ねぇ、初段かな?けど…かなり自信家だね!キミ。気に入った。けど…かなりのやつ敵に回したこと覚えといた方がいいよ!」と相田主将は笑った。

確かに、度の過ぎた発言だったかもしれない。

けど…私にはプライドとキャリアある。

努力は誰よりもしてきた…。

そんな私が…ここまで苦しむなんて…。

「お相手ありがとうございました。私帰ります!!」私はそう言い残すと、道場を後にした。

涙が溢れてくる。何でこんなに悔しいんだろう?

楽しみにしていたはずなのに、苦しくて、悔しくて…辛い。

どうしよう。私これからあそこで頑張れるのかな…?

私は教室に戻った。
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