私、先生と付き合ってます。
「私は…山登りたい!」と少しふざけてみた。

「…山?登山てこと?」と先生。

「ハイキングコース的な…?」と相田主将は言ってくる。

まさか!本格的な登山よ…。ハイキングコースなら山登った感ないじゃない!!

「…ボルタリングでいいなら…」と先生は真面目に言ってくれた。

「私無理。スポーツ出来ないもん。運動神経鈍いし…」とマネージャーがいった。

「なら、アソコにする?モール。アソコなら遊び場もあるし…ショッピングも出来るよね?」と先生は言った。

さすが先生。

マネージャーは嬉しそうにうん!と返事したため、そこに向かうことになった。

これって…デートになるよね?

しばらくしてモールにつき、私たちは車を降りた。

はしゃいでいるのはマネージャーで、相田主将はその様子を見ている。

私はと言うと…先生と並んで歩きながらそんな二人を眺めている。

「そんなはしゃぐなってぇ~」と言いながらもどこか楽しそうな相田主将。

けど、マネージャーはムリにはしゃいでるような少し切なさを感じた。

私はマネージャーの横まで行って並んで歩いた。

「あの…無理してはしゃいでませんか?」と私は小さい声で聞いた。

そしたらマネージャーは足を止めてしまったので、私も反射的に足を止めた。

『どした?』とキレイに重なる先生と相田主将の声…。

「だって…私友達いないもん。皆でこんなことしたことないし、楽しいし…」と叫ぶように言うマネージャーの目からは大粒の涙が溢れていた。

そんなマネージャーを力強く抱き締めた相田主将。

「これからは俺がいてやる。ずっと、お前が望むならずっと一緒に色んなことしてやる」相田主将はそう声をかけた。

マネージャーの涙が嬉し涙に変わったのがわかった気がした。

「マネージャー?私もです。私たちもう友達ですよ?いつでも声かけて下さい!これからはたくさん遊びましょ!って受験生相手に私調子乗ってますけど…」と笑えば、相田主将の腕の中でマネージャーは笑ってくれた。

そんな私たちを先生はただ目を細めて見守っていた。

「よし、じゃぁ、4人で満喫するか。せっかくのチャンスだから、別行動にして、デートを楽しもうかと思ったけど…それはまた今度にしようか」と先生は言った。

先生は空気を読んでくれたんだろう…。私もほんとは先生との初デート楽しみにしていた。

けど、マネージャーは女友達がいなかった…もちろん、彼氏も…。

それは多分剣道部のマネージャーだからだよね?

ううん、それが理由でいじめられたかもしれない。

手を出したら、剣道部のやつに絞められるかもしれない…そう思って誰も近寄らなかったのかもしれない…。

私は普通に気にしてなかったし、剣道バカで剣道してきたから興味なかった。

それでも飛鳥がいてくれたから、それなりに遊んできた…。

けど、マネージャーはそうじゃない。

辛かったんだ…。私そんなことも気づけてなかった…

私はなんだか泣きそうになった。

そんな私を先生は抱き締めた。

「大丈夫だよ」って優しく。

ねぇ、先生、私…

伝えたいことはたくさんあった。それでも先生は何も言わず、ただただ優しく抱き締めてくれた。

「…大好き…」私は先生の腕の中で小さく呟いた。

今気づいたんだけど…ここ、まだ駐車場よね!?私たち何してんだろ…

慌てて私は先生と離れた。そしたら影響を受けたかのようにマネージャーと相田主将も離れた。

改めて、私たちは歩き出した。

―手を繋ぎたいー

そんな感情にかられるものの、そんなところ、もし他の生徒に見られたら…とか思って躊躇してしまった。

けど、そんな中、迷うことなく、マネージャーと相田主将は手を繋いでいて…

いいなぁ~

口に出したつもりは無かったのに…ナゼか出てしまっていたようようで、先生は私に手を差し出した。

私は驚いて思わず先生の顔を見てしまった。

「…手繋ぎたいんだろ?」とぶっきらぼうに先生は言った。

「…いいんですか?もし、誰かに見られたら…」と私が言えば、

「何を気にしてる?俺らは公認の仲だ。堂々と手を繋いでいたくらい、誰も文句を言えやしない」と先生は笑った。

私もナゼかその言葉に納得してしまい、先生の大きな手に自分の手を重ねた。
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