私、先生と付き合ってます。
何とか部活を終えて、皆は帰っていった。

私は大会に向けて、一人練習している。

「精が出るな…」と声をかけてくれるのは先生。

「せっ、…先生!?」と私が言うと、

「あんまり無理すんなよ」と頭を優しく撫でられた。

先生ズルいよ…そんなことしないで…私、先生のこと…

「久しぶりに俺もやろっかな~。相手してもらえる?」と先生は笑顔で言って準備を始めた。

胴着に着替えて戻って来た先生は、いつもよりかっこよく見える。

眩しすぎる…。私はつい見惚れる。

それに気づいた先生が、「どした?」と声をかけてくる。

「あっ、いえ、何でもありません…」と私は顔を赤くしながら目をそらした。

「へぇ~?俺に見惚れてたんじゃないの?」と先生は嫌みっぽく言うと、私に段々近づいてきた。

気づけば、逃げ場のない壁際に追いやられていた。

そしてついにー壁ドン…

私は思わず目を閉じた。

「ほら、目を開けて…ちゃんと俺を見な」って囁かれる。

うるさいくらい早くなる鼓動…。ドキドキが止まらない。

「俺のことはどう思ってる?男として…。俺は…好きだよ。キミのこと…」と先生は私の耳元で甘く囁いた。

ドキッ。思わず胸が弾む…。

先生ズルい。

私は顔を赤くしながら、「…きです…」と言った。

「聞こえない」と先生は言ってさらに顔を近づけてくる。

今にもキス出来そうな距離に思わず身をよじる。

「私も…先生のことが、好きです!!」今度はハッキリ言い切った。

声は小さくなったけど…。

そしたら先生、いきなりキスしたんだ。

「うっ、あっ、あっ、ん」なんて吐息が漏れる。

けど、先生は止めるどころか、段々キスを深くしていった。

私は足に力が入らなくなった。ガクガク震える足…先生は私を支えながら抱き締めてくれる。


私のファーストキスは少し苦いタバコの味がした。

口を離した先生は、「我慢出来ない…キミがアイツといちゃついてるの。だから…俺の女になって?」と言われて、私ははいと頷いた。

こうして私と先生は恋人になった。

けど、教師と生徒…公には出来ないので普段はいつも通り過ごすことにした。

「先生、そろそろ練習…」と私が言うと、「そうだな」と先生は言ってあっさり私から離れて、構えた。

私も向かい合うように立ち、竹刀を構える。

30分ほど、私達はやり合った。

「遅くならしたな。送ってく。準備しといて…」と先生は言って去っていった。

私はそんな先生の後ろ姿を眺めながら、制服に着替えた。

しばらくして…先生が戻ってきて、私は先生の車で送ってもらうことになったので、一緒に駐車場に向かい、車に乗り込んだ。

「なぁ、何でアイツとあんなに親しいんだ?付き合ってるって噂流れてんだろ?」といきなり質問された。

「好都合でしょ?私達の関係がバレない…。彼は、知り合いだったのもありますけど…私がというより、彼が私に寄ってくるんです!!」と私は言った。

「そうか。俺、独占欲強いんだよ?すぐヤキモチ妬いちゃう…だから、覚悟してね?」と先生は笑った。

私は思わず背筋が伸びた。
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