とある犯罪者たちの雑談
それでも、彼女はボクがストーカーなんかではないと、自分の恋人だとは証言してくれません。
ボクの犯していない罪がボクをここ……刑務所に繋いでいます。
なぜか、とひとり問いましたよ。
ええ、ええ、だって当然でしょう?
人を殺した罪だけならわかります。
彼女を守るために必要なことだったのだから仕方がありません。
そのことで問われる罪ならボクは喜んで受け入れ、世に許される時を待ちます。
ですが、これは違う。
いくら彼女の恋愛の形が受け身になりがちだからとはいえ、ボクたちの仲を引き裂かれる理由なんてなにひとつないのです。
ボクは必死で考えました。
彼女の思考を考えて、考えて考えて考えて……そうして、気づいたんです。
彼女の願いに。
優しい彼女。
気遣い屋な彼女。
きっと頼めるのはボクしかいなかったんですね。
彼女と会えないことが苦しくて、ボクは気づくまでに随分時間がかかってしまいました。
彼女はきっとそのことも怒っていたのでしょう。
でも理由がようやくわかった時はすっきりしたし、安心しました。
遅くなってしまったけど、きちんとやり遂げれば許してもらえるだろうとわかりましたとも。
彼女は願いのためにボクをこんなところに留めて会いに来ないのだと。
でも、もうその願いは叶えられる。
きっと彼女は喜んでボクに会いに来てくれるでしょう。
ああ、楽しみだなぁ。
彼女の元気な姿を早く見たいものです。