Blood honey
――――AD36番地
「――――ってかいないじゃん!!
どうすんの、シルビア!?」
「煩い、喚くな。
今調べてる。
と言うか、私先輩なんだが。先輩くらい付けろや。」
やはり、アイツが絡んでそうだな…と舌打ちするシルビア。
「アイツってその"大ッ嫌い"な奴?」
「あぁ、この辺だと結構有名な奴でな。
名前は―――」
「―――ユニィ・ラウディア。大貴族、ラウディア家の姫よ。」
第三者の声が聞こえたと思えば、目の前に桃色の髪が流れた。
「げ。
やっぱお前か…」
「嫌そうな顔しないでよね、あたしのが嫌なんだから。」
ユニィ・ラウディア
元大貴族の姫君。
今は私と同じ幹部。
いろんな地域を飛び回っている。
別名「狂乱の桃音」
「だったら人の任務にちょっかい出すなよ。」
ハァ、と溜め息をつきながらユニィを見る。
「ちょっかいじゃないわよ。あたしはスエルバ隊長を想ってやってんのよ。」
「煩い、このスエルバ信者め。」
言い合いが一向に終わらない、シルビアとユニィ。
ハッ、と笑えばスエルバ隊長馬鹿にすんなぁ!!とキレる始末。
「とにかく!!
任務任務!!シルビア!」
「何コイツ。
あ、わかった!
シルビアの彼―――」
「殺して欲しいか?」
待ちきれなくなった悠が騒ぎ、やっと悠に気付いたユニィが毒を吐くがシルビアによって一喝される。
「仕方ない、帰るか…ι」
「あ、じゃああたしもスエルバ隊長に会いに行くーvvV」
「来んな。」
「あー!
やっぱアンタ好きなんでしょ!!
ダメよ、スエルバ隊長は渡さないわ!!」
ダメダメー!!と叫びながら、アジトに向かうユニィ。
「うわー…すげー嫌な予感。」
「俺の初任務…」
残されたシルビアは苛立ち、悠は落ち込んでいた。