Blood honey
「…ッチ、
風を利用した風圧か…。」
「ちぃっと違うな、これは俺の元々の能力だ。」
"斬風"!!
―――ズバババッ!!
「…っく!!
風を操れるのか…っ、」
「リズ!!」
至近距離で無数の鎌鼬…もとい斬風を食らい、傷は浅いが血塗れのカナメ。
カナメを心配してマリアが叫ぶ。
「来るな!!マリア!!
お前は闘えねえだろ、大丈夫だから其処で見てろ。」
「……わかった…」
カナメの言葉にマリアは渋々頷いた。
「安心しろよ、二人共殺してやるからさ。」
「させるかよバカヤロウ。」
"瘋鋼斬鎖"!!
"緋燕"!!
―――ギキュィィイン!!
「…"緋燕"か…
流石だな、俺の瘋鋼斬鎖を止めるとは。」
「…!随分と俺に詳しいな…、緋燕はあんまり見せた事ねー技のはずなんだが。」
これは部が悪い、と冷や汗を垂らすカナメ。
「……マリア、浮足使えるよな…?」
「…え、……うん…。」
いきなりのカナメの言葉に吃りながらも返す。
「じゃあ、浮足使ってアジトに先に帰れ。」
「Σ…な、何言って…!!
嫌!私帰らない!」
「大丈夫、後から追い付くから。」
「嫌!!」
敵から目を離さない為に、マリアに顔を向けない為か、後ろ姿が自棄に遠く感じた。
あの組織にいる人ならば誰もが知っている、近くにいるのにまるで遠くにいるよう様に感じる瞬間を。
「頼むから、マリア。
お前の体はもうお前一人の体じゃないんだ。
あんまり外にいたら体が冷えちまうだろ。
あとから追い付くから。」
「……っ、わかった…
絶対…絶対…!
追い付いて来てよ?」
「あぁ!」
そんな顔をされたら残るわけにも行かなくて、私は浮足を使った。