ほら、そうやってすぐ死ぬ。



私は通帳を持って、アパートを出た。

雨が降っていて、しかしこれくらいの小雨なら近くのコンビニで傘を買えばいい。

ついでに、そこのATMでお金を下ろせばいい。

コンビニまで私は走った。

グレーのパーカーのフードを被り、ムートンブーツの先のすすけた部分が水に濡れて、生地の色を一層濃くする。

濃すぎて黒に近い色をしていた。

まるで私という悪女の病魔、ガン細胞のようなものが、形となってはっきり現れているようで、ああ、やっぱり私って悪女だよな。

それも可愛いもんではない。ドス黒い悪がこびり付いて取れなくなった、最低な女。

少年法も呆れる罪深き女が水に滴って綺麗、綺麗、綺麗。


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