ほら、そうやってすぐ死ぬ。
雨上がりの微笑み



成人向け雑誌コーナーで男は『聖夜を1000倍熱くする』という特集記事に目を通していた。

しかし、男はそれを真剣に読むわけではなく、パラパラとめくっては、時折、わかったふうな感じで頷いたりしている。

「金子、あんたなんでここにいるの?」

金子は雑誌に目を向けたまま、「別に。」と答え、袋とじを隙間から覗こうとした。

「ただ、立ち読みしてるところに、お前が来ただけ。」

「こんな雨の日の土曜日に?」

「土曜日って1週間のうちで何でもないような曜日じゃん。しんどくないけど、楽しいわけでもない。そのくせ、朝はあっという間に終わってて、夜は長く感じる。」

金子は袋とじを手刀でビシッと破った。

「その土曜日を立ち読みで潰すのって楽しい?」

「楽しくはない。むしろ余計に暇。」

学校で見るお茶目な金子の姿はそこにはなかった。


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