ほら、そうやってすぐ死ぬ。



お父さんは注射器を出してきた。

それに何だか綺麗な結晶。透明な水晶。

キラキラする。星屑をちりばめたようなそれを溶かして、溶かして、

注射器に入れて、それで、私の右腕に……

ブスッ!

痛い。痛い。痛い……でも悪くない。何だか頭がぼーっとする。

お父さんが歪んで。ああ、右手が生えてくる!

お父さんの右手が生えている……よ!

私の右手から解き放たれたムカデがヘビがナマズがミミズが蝶が一生懸命力を合わせて、右手を作っていくよ。

お父さん、よかったね。

これでやっと、やっと。

笑って? ねえ、笑ってよ?

あれ? 見えない。見えない。見えない!

見えない! 見えない!!

怖い!



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