ほら、そうやってすぐ死ぬ。



「お前なんか、生まれてこなければよかった。」

お父さんの……お父さんの声?

どこにいるの? どこにいるの?

「あなたを生んだことは失敗ね。」

母さんの……母さんの声?

母さん? ねえ、母さん?

もうお仕事から帰ってきたの? ねえ、どこ?

……あれ? 痛くない。

もうどこも痛くない。

あれ? あれ? あれ!!!

「死ねばいい。」

死んじゃうの? 私。

「死ねばいい。」

死んじゃうの? ねえ、死んじゃうの?

「死ねばいい。」

ねえ、私。いい子にするから。お父さんの右手が治るようにいっぱいお勉強して、いっぱい偉くなって、いっぱい頑張って、お医者さんになって、私が治すから。母さんがゆっくりできるように、いっぱいお金を稼いで、いっぱい美味しい物食べさせたりするから。そのためなら私は何もいらないから、お洋服も、おもちゃも、何もいらないから。ご飯も食べなくていいから。ねえ、ねえ! だからお願い! 死にたくない! 生きたい! 痛くして? ねえ、もっと痛くして?



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