ほら、そうやってすぐ死ぬ。



……熱い。

なんだろ、これ。

ああ、血。血が出てる!

私、生きてるんだ!

ああ、よかった。生きてる。生きてる。

ありがとう……でも痛く……ない。

どこも痛くない。

あれ? 死んだのかな?

私、もう死んじゃったのかな?

「……紗栄子。」

……母さん? あれ?

私やっぱり生きてる? ねえ、生きてる?

「……ごめんね、紗栄子。もう大丈夫だからね。」

母さん。泣いてる? なんで?

「大丈夫だよ。母さん。紗栄子がよしよししてあげるよ?」

「……ありがとう、紗栄子。これからは母さん頑張るから、二人で生きていこ。」

「二人? 違うよ。三人だよ? ねえ、お父さん? ……お父さんもほら……あれ? お父さん、寝ちゃったのかな?」

「……紗栄子。」

「ほら、起きて……お父さん?」

「……紗栄子! 紗栄子!」



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