ほら、そうやってすぐ死ぬ。



私は湯船に浸かりながら金子の言葉の余韻に浸っていた。

私たちは罪人で誰も許しちゃくれない。

神様にも仏様にも見放された存在。

でも、お互いがお互いを神様、仏様と思えば救われるはずだ。

そして、Kを殺した後、一緒にこの浴室で罪を洗い流すのだ。

洗い流して、精悍な顔つきになって、それから始まる。

希望に満ちた新しい日々が____。

都合が良すぎるかもしれないけれど、私たちはもう十分背負った。

罪を罪と思うことも許されず、口を閉じてただ我慢したのだ。

育ちが悪かったということもあって、酌量の余地もあるだろう。

そう都合良いことばかりの世界じゃないけど、そう都合の悪いこともそうそうあるまい。



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