ほら、そうやってすぐ死ぬ。
だからと言って何も知らないわけでも無いらしかった。
「Kは裏社会の人間だ。闇の世界って言うのかな、闇は深いが、闇の中で輝いている灯りは目に付きやすい。」
金子はそう言ってスマホを取り出し、地図アプリを開いた。
「新宿二丁目のここに雑居ビルがある。一階にはスナックがテナントとして入っていて、二階はダンスフロアもあるほどの大きなバーになってる。」
「このビルをKが仕切っているってことね?」
「アジトだな。」金子は地図アプリを閉じた。
「まあ、常識的に考えて、俺達はこのバーに入店さえ出来ない。未成年だから。法律を作った大人は賢いよ、まったく。」
「でも、手はある。違う?」
私の問いに金子はニヤっと笑った。
「Kがそこにいるということは、闇に足を踏み入れた奴なら誰でも知ってる。有名人さ。でも、そいつがKだということは知らない。」
「意味わかんないんだけど。」私が傾げた首に手を回し、金子は続けた。
「だから、Kだということはしらないんだよ。『K』だということは。」
なるほど、そういうことか。