ほら、そうやってすぐ死ぬ。



私は家を出て、ホームセンターに向かった。比較的人通りの多いところを選んで歩いた。人目につきやすいところでは刺客も手出しできないと踏んだのだ。

その作戦が見事成功したのか、ホームセンターに着くまで、刺客らしい人物とは会わなかった。

いや、考え過ぎだろうか。神経質になりすぎているような気がする。

別にいいじゃないか、殺されたって。

自殺未遂をしたことがあって、自殺ほう助をして、小指のないブス。そんな私に価値があるというのだろうか。

こんなガラクタは死んだも同然。死んだものだ。そう、私は死んだもの。

死んだものが何回死のうが一緒。死んでいるのだから。遺体にナイフを突き立てたからってなんだっていうんだ? って話。

でも、私はそれと同時に死ぬのが怖くなっている。

恐れている……いや、違う。恐れているというよりもむしろ……惜しく感じている。

死ぬことに引け目のようなものを感じているのだ。

その理由はきっと明白で、私が400万の貯金から1万おろして、わざわざホームセンターまで来た理由と合致する。

先手必勝。そう、殺れる前に殺ればいいのだ。

Kの先手を打つことは不可能だ。Kはどこの誰だかわからない。でも、刺客が殺しに来たその瞬間、武器を肌身外さず持っていれば、対抗できる。

そこで、殺されればそれまで。でも、ここで私の方が相手を殺すことが出来たら……。



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