ほら、そうやってすぐ死ぬ。
ホームセンターでサバイバルナイフを買った。吟味して選んだナイフだ。サバイバル。これはある意味サバイバルなのかもしれない。
私は今宵、武器を身に着ける。初めて運命に逆らうのだ。武器を取り、運命を自分の手で変える。ある意味、この世界のクソ運命とやらに対する抵抗に似ているかもしれない。
サバイバルナイフを鞘から引き抜いた。刃がギザギザしていて、小指を切ったシガーカッターよりも切れ味が良さそうだ。
私は痛みを知っている。その10倍、100倍もする痛みを相手に与えると思うと、手が震えた。
ぞっとする。それと同時にわくわくもする。
人を殺すかもしれない。とうとう自分の手で。ナイフを刺し、持った右手に相手の鼓動が伝わる。
どくんっ、どくんっ、どくんっ……とくんっ、っと、とくんっ、っと、とくんっ……。
そして、絶命するその瞬間、白目を剥き、よだれを垂らしながらマヌケな顔して倒れていく。相手が最期に見るのは私の顔だ。
そんな相手を私はどういう表情で見るのか……その場になってみないとわからない。